05

 翌日の大広間では、マキュールに加え、ウィリアムとカルティーノが机に突っ伏していた。
「「暇あ!」」
 マキュールとウィリアムが口を揃えて言うと、それに続いてカルティーノが、「だねぇ」と花を浮かべている。
「なんか、増えてやがる」
 ガブリエルはそんな三人を見つめながら、二枚目キャラであるカルティーノがマキュールと共に馬鹿やってるのに驚いていると、ウィリアムが何かを思い出したかのように立ち上がる。
「あ、そうだ、ジョンさんいます?」
「ジョンなら向こうで蝶子と話してるぞ」
「えっ!」
 ウィリアムは、ガブリエルが親指で示した場所を見ると、確かにジョンと蝶子が話していた。
二人の表情が柔らかいのを見て、
(あの二人…もしかして出来てるのか?!)
と、思っていると、ウィリアムに気付いた蝶子が声をかける。
「ウィリアムさん、どうかされました?」
「あ、ええっと…ローゲンさんが、『ジョン宛の手紙が、ジョンの通っていた能力者養成所に届いた』って」
 ウィリアムは自分の懐のポケットからおもむろに手紙を取り出し、蝶子とジョンの前に差し出した。そこには確かに『ジョンへ』と記されている。養成所、というところで蝶子とジョンは何かを悟った。ジョンは恐る恐る封筒を破り、数枚出てきた紙を黙読した。

  **

親愛なるジョンへ
やぁ、ジョン。久しぶり。覚えてるかな?スコットだよ。
あの時は何て言えばいいのか分からず、ろくにお前と向き合いもせずに離れてしまった。あの時は確かにお前が怖かったけど、今は違う。ちゃんと会って話し合いたいと思ってる。お前は真面目で合わせる顔が無いって思ってるかもしれないけど・・・俺は、あの時の二人に戻りたいんだ。
もし、お前が会ってくれるなら、一ヶ月後の六日、ロサンゼルスのー・・・

  **

 ジョンは無言で手紙を閉じた。
「それと、ローゲンさんが『けじめをつけろ』って言ってました」
「ローゲンさんが…」
「あの、何故ローゲンさんが?」
「ああ、それはね、あの人がエージェント全員の経歴を知っているからさ」
「それで…」
「介入の指令はまずあの人に知らされる。それくらいローゲンさんは強くて頼りになるんだ。だから、ローゲンさんはエージェントについての情報もあらかじめ渡されてるし、エージェントの全体的な指揮も任されてる」
 蝶子とウィリアムは納得した。
「あの人は一見怖そうだけど、こうやって後押ししてくれる、優しい人だから・・・言う通りにしなきゃな」
 ジョンは自嘲的に笑ったが、そのには昨日のような迷いはなかった。


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