剄mZ野球

照りつく熱は肌を薄い膜で包んでいる。
共鳴し合う蝉に夏を感じて、ここまで切なくなった日はない。
一歩一歩帰り道を辿る足と肩が重く、胸にまで負荷をかけている。

−…終わってしまった。

暑苦しいものだと最初はあんなに煙たがり、億劫だった応援は、今となって切なさに還る。
じりじりと焼き付いたものは、感動と悔しさと真剣な彼らの汗の輝き。
それらは余りにも眩しく、渇いて冷めた私にはきつすぎて、目眩がするほど。

−ありがとうございました!
応援席に向けて大声で放たれた感謝の言葉には、悔しさと今までの辛さ等が含まれ、重たいものとして私の、いや観客の全員の胸を打ったのだ。
彼らが顔を上げた途端に鳴り響いた大歓声、拍手喝采に、選手でもない私が泣いた。
ただぼやける視界の中で、炎天下のこの夏に、輝く高校生の姿が広がるのを感じた。

数時間前の冷めた私が恥ずかしく、俯いていた私は、野球に愚直でストイックで真剣な彼らの努力に、その日今だかつてない感動を覚えたのだ。

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