刄Rスモスに包まれたように

何してるの、少女が透き通るような声で尋ねた。
オレンジに染まるコスモス畑は、なんだか単一で物寂しく、私が視界に入れるものは意図も簡単に解けるような、単純な景色だった。

彼女のあどけない笑顔がふとよぎる。確か、この少女によく似ていた。ふっくらとした桃色の唇と、少し眠たげな瞳が印象的であった。
私は間を埋めるように答えた。彼処に、彼処に彼女がいるんだと。
指を指す場所に、少女が首を向けた。
何もいないよ、と不思議そうに傾けた首は、白く細く、折れそうな繊細さがあった。

知ってる。何故彼女の姿がないのか。
知ってる。知ってる。

君なんだ、と言ったら消えてしまうだろうから、私が此処に来るまで待ってておくれよ。

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