男に襲われる事、それは同性として考えるのであれば最も恥じる事。
男なのに女のように喘がされ、惨めさを感じる。
同性が同性、男が男に襲われた場合、その"男"というものを好きになるのは無理がある。
恐怖理念が産まれるからである。
そもそも、普通は男は女が好きになる。

俺はジュードにとって俺以外の男と女、両方を全て取り払って全てを手に入れたかった。


『Fake tolerance 5』


「アルヴィンさん...ですか」

彼の心を少し開く事に成功した数日後、彼から電話がかかってきた。
建前と邪神の中間の2コール目で電話に出た。

「ジュード君か」
「今、忙しかったですか」
「大丈夫だ」
「話、聞いて貰っても..」
「あぁ、構わない」

彼は一日の日常を振り返りながら喋った。
少しずつ前の日常に戻ってはいるけど少し、やっぱり怖いだとか。

「部屋の鍵、変える事にしました」
「あぁ、それがいい。」
「あと、手紙は学校宛に送って貰う事にしたんです。これでポストは見なくていいかなって。」
「そうだな。」

落ち着いて一言一言喋るジュード。
わずかなカーテンの隙間から一瞬見えたジュードは電話機を懸命に握りしめてて可愛いとさえ思う。

「いつも、いつもありがとうございます。」
「気にするな。俺で良ければいつでも話を聞くから。」
「ありがとうございます。..僕、正直怖かったです。男の人が。でもアルヴィンさんは違って、怖くないんです。」
「それなら良かった。明日も学校早いだろう?あんまり無理するもんじゃない。」
「大丈夫です、学校は僕にとってはずっと普通ですから。」

その後、他愛のない話をしてお互いに電話を切った。
ジュード君の中の"学校"という名前の"普通"を奪ったら何が残るのだろうか。
それこそ、両親だけ。
いや。
「遠くの親戚より 近くの他人」という言葉があるぐらいだ。
いよいよ彼が手に入るかもしれない。
そう思うと彼の乱れた姿が頭の中を駆け巡り下半身に熱が籠る。

「それじゃあ、最期の仕上げといきますか。」

部屋の中では電子端末と繋がった機器が沢山の写真を印刷を開始した。
その鈍い音は俺の憫笑をかき消した。

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