始まりはただの興味本位。
液晶に表示された少年の破廉恥な姿に酷く興奮を覚えたからだ。
その数時間後に出会った生身の少年は汚れた癖に綺麗でそのギャップにまた興奮した。
その少年を手に入れたいと思った。
真っ向なやり方は考えなかった、それは"彼の悲痛に歪めく表情"を再び見たいと思ったからだ。
そしてその酷く傷ついた少年を慰め、憔悴し俺に縋り付く彼を手に入れる為に。

「ジュードくん、登校の時間か。」

張り込みを称して借りたジュードくんの家の向かいの事務所。
俺が進んで"逃亡犯の捕縛"の任を受け入れた為、借り入れた部屋。
朝、彼の部屋の電気が付いて半刻も経たぬうちに彼は正面にある集合郵便受けの前に来た。

「ジュードくんちゃんと開けてくれるかな」
「それとも見ずに行くのかな」

病院で案じた律儀な性格通り、彼は朝郵便受けを開けた。
その中には俺が早朝入れた、液晶の表示された写真が数十枚入っている。
彼はと言うと一遍は驚きにより写真を地面に散し、焦って回収し郵便受けに強引に戻す。
その姿にも興奮を覚える。
だって、少年はジュードくんは俺がした行為によってあそこまで怯えてくれたのだから。

「ふーん、登校、するのか」

そして彼は郵便受けから逃げるように学校へ足を進めた。
その様子を出来る限り肉眼で、見れなくなったら借り物のスコープで眺めた。
俺の背後でひたすら稼働する電子機械が次々と印刷する音をBGMにしながら。

きっと彼は不安で不安で仕方ない日々をおくるのだろう。
それを考えるとまたおぞましい欲求が満たされる。

『あの、学校とか...に言わないで下さい...』
「何でだ、犯人が学校に来る可能性だってあるんだぞ」
『...みんなに........そう、思われたくないんです......汚いって』
「汚いって、そんな事」
『...実際そうなんです、だから、誰にも言わないで下さい....』
「親身に相談に乗ってくれる奴はいないのか?」
『....いないと、思います。....心配するふりをして...僕から離れてしまう、一人になってしまうかもしれない』
「ジュードくん...」
『だから、だからお願いします...』

彼は数日前の出来事を忘れようと、消そうと必死だった。
強姦される、しかも同性に性の対象として見られていたという事実を汚いと思っていた。
それにより彼は仮初めの友人を失う事を恐れていたのだ。

『......お願いします.....』

そんな回想をしつつ、スコープでも彼を捕らえられなくなった頃にはBGMは途切れていた。
そして印刷される彼の淫らな姿。
電子機械から映像の写真を消滅させ、印刷された物を鍵付きの引き出しに押し込んだ。

「さて、行こうかな。」



『Fake tolerance 2』

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