「アルヴィン、掃除するからどいてくれない」

同棲生活を始め数週間が経ったのだろうか。
フラフラしている俺とは違って主婦業もするし仕事をして収入を得ているジュード。
床で寝転がってゴシップ紙を見る俺が大層邪魔らしい。
ほうきを片手に持ってぷりぷり言う姿がとても可愛く愛らしい。
でもそんな事は絶対言葉にできない性格なのはとても損だと思う。

「いやだ」
「もう、アルヴィンも一緒にゴミに出しちゃうよ?」
「そんな事言ってもいいの?」

そう意地悪な事を言えば何も言えなくなってしまってオロオロする姿も可愛くて。
仕方なく床から掃除仕立てのソファーに移動した。

「あ、ありがとう。」
「別にいいよ。ジュードは頑張って家事やってたんだもんな」
「アルヴィン。うん、ゴミと一緒になんて酷い事言ったね。」
「じゃあ、ごめんなさいは?」
「...ごめんなさい」

確実に俺の方が悪いと思うのに頬をほんのり赤くして言う姿もまた可愛くて。
ぱたぱたと掃除をまたジュードは再開した。

「アルヴィン、夕飯何がいいかな」
「ジュード君が食べたいなー」
「えっ」
「嘘だよ」
「じゃあ何がいいの?」
「ジュード君顔赤くしちゃって、期待してたの?」
「き、期待なんてしないってば」
「ふーん」
「...で、何が食べたいの?」
「ジュード君」
「もう、からかわないでよ。」
「だって、俺の一言に振り回されてるジュードが面白くて」

そう言って小さい顔を大きな掌でくしゃくしゃとするとまた「もう」と言い出した。
本当は「面白くて」なんてじゃなくて可愛くてと言いたいのだけれど。

「家事できないから離して、アルヴィン」
「いやだ」
「嫌じゃないでしょ、ご飯なくていいの?」
「ジュード君食べるからいらない」
「って、エプロン脱がさないでよ」
「着たまましたいの?ジュード君も趣向が変わってるな」
「そうじゃなくて...」
「じゃあどうしたいんだ?自分のお口で説明してみろよ」

本人にはまったくその気はないんだろう。
だけど辞める気なんかまったくない。

「ほら、聞いてやるから」
「...なんで僕に言わすの?」

そうちょっと涙目になる姿もまた可愛くて。
そんな上目遣いで涙目で顔赤くしてたら何言っても襲ってしまう自信しかない。

「なんでだろうね」
「...僕、言わないからね!」
「じゃあ、俺も言わない。夕飯はサイダー飯でいいから。」
「...」
「何もの足りなさそうな顔してるんだよ、せっかく夕飯考えたのに」
「アルヴィンは...意地悪だよ」
「そうなのか?俺は優しいと思ってたんだけどな」
「...」
「ほら、言いたい事があるなら」

"自分で言ってみろよ"と小さい口を指先でなぞるとくすぐったそうに顔を顰める。
その姿にさえ可愛いと思ってしまう。

「...やりたい、よ」
「"やりたい"だけじゃ俺よくわかんねーな」
「...」
「ほら、もっと具体的に教えてくれよ」
「あ...アルヴィンと、」
「俺と?」
「せ..セックスしたい。」
「清純なジュード君にしては頑張ったな」
「もう、意地悪な事ばっかりさせないでよ」
「だって、ジュード君虐めるの楽しいんだもん。」

そう言ってまた頭をくしゃくしゃと撫でたらジュード君は顔を真っ赤にさせてこう言った。
"アルヴィンの意地悪!"
また可愛いと思ってしまったのだけれど、そんなのは本人に伝えてあげない。


『意地悪から愛を感じ取って下さい』





ドSってどこまで許されるんだろうかとか考えてました。
自分の中で自然な会話の中でドS性を詰め込む努力はしました....ですね。
あんまりプレイ中にドS成分を入れるといつも通りですので、ね。

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