背後の確認はOK。
刺客もない。
大剣を振りかぶって、隙を見て敵の足下に銃弾をはな―

その瞬間にジュードが俺の横目を通り過ぎたのが見えた、敵の攻撃で吹っ飛んだらしい。
おい、ジュ―

「アルヴィン!!」

職務怠慢だと思う。本当にそうだと思う。
吹っ飛んだジュードに視線を取られた一瞬に敵が俺の背後に回った。
気配で一瞬で振り向くが僅かに間に合わない。
吹っ飛んだジュードはリカバリングして敵と俺の間合いに飛び込んで来た。

結果、魔物の手によって傷を受けた。

「おい、ジュード!」
「回復..します!」
「アルヴィン、動揺するな!今はここを守らなければならない!」
「あぁ、わかってるよ!」

近くに居る魔物を一掃し、ジュードの元へ駆けつける。
治癒術のお陰で大事はない、足の裂傷が目立つぐらいだった。

「ジュード、大丈夫か」
「大丈夫だよ。皆、ごめんね。先に進もう。」
「進もうったって、足、血が出てるじゃないか」
「これくらい、たいした事ないよ。」
「もう!アルヴィン君!職務怠慢ー!」
「ティポ、エリーゼ大丈夫だから。ね。」

心配そうに近寄るエリーゼに精一杯の笑顔を向けるジュード。
痛いはずなのに、顔は笑ってる癖に足は震えてる。

「じゃあ、行こう。....ってアルヴィン!」
「ジュード、背が高くなった..です」
「アルヴィン、大丈夫だから下ろしてよ」
「その傷であんまり動かない方がいいぜ。傭兵の知恵は聞いとけよ」
「...アルヴィンが余所見するからでしょ」

耳元で俺にだけ聴こえるぐらいの大きさでそう言った。
それにボソっと「誰のせいだよ」と言ったら拗ねたように笑った。

「だいたい、あんな所でよく余所見できるよね」
「ジュード君が吹っ飛ばされるからだろ」
「ちゃんと、受け身取ったから!」
「それで俺と魔物の間に入り込むなんて俺って愛されてるなぁ」
「そうだよ、愛してるんだよ」
「...よく恥ずかしい事言えるな」
「こんな状況でおんぶするアルヴィンに言われたくないよ」
「なんならお姫様だっこにしてやろうか」
「やだよ」


『その傭兵、職務怠慢である』





あーあまずっぺえなー。

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