「ふつー...刺すか」
「...」

痛んだフローリングに赤褐色のシミができる。
それは尚広がって行く。
ぐしゃりと彼の腹部を刺した包丁を引き抜けばうめき声と共に血沫を放った。


『正体Xの犯行』


「だってだって、アルヴィンがアルヴィンが悪いんだよ」
「...」
「僕を、....僕を....」

目の前で今にも死にそう、もしくは死んでる男の青い顔をそっと撫でる。
医者の癖に人殺し、医者の癖に死んでるか生きてるかさえも判別もできない程狂っている。
その狂わせたのだって、アルヴィンなのだから。

「仕方ない、よね...だって....」

僕はアルヴィンと一緒に居れればそれで良かった。
気持ち悪いと言われて罵られてもアルヴィンの側に居れればそれで良かった。

「アルヴィンは....」

たとえ、力によって屈服させられたとしても
弄ぶように快楽と苦肉を与えられ溶けた体を強引に揺さぶられても
騙されたとしてでもそれでも良かった、だって彼に惹かれてたのだから仕様がない。

「一度も...好き、なんて言ってくれてなかったよね...」
「嫌い、だけだったよね...」
「だから、だから、なんだよね」


『あーこいつ、好きにヤっちゃっていいから
 強姦されて輪されて焦点が合わなくなるぐらい、ヤっちゃって』
『いやあ"あぁぁ、アルヴィン、嘘だよね、はな"し』
『あぁ、抵抗する時は殴っちゃってもいいから』

薄汚い床に這いつくばらされて、何人もの男に犯されて
最後に残ったのは精液でぐちゃぐちゃな体と引き裂かれるように痛い体と心だけ。
水垢まみれの洗面所のミラーに映る惨めたらしい自分の顔を拳で破壊して

"僕のアルヴィンに対する想いが傲慢なら
その想いすら利用したアルヴィンはもっと傲慢だよね"

なんて理屈浮かべて、ならいっその事終わりにしてしまおうなんて思って
側に居れるだけで良かった僕の気持ちなんか無視して
アルヴィンが居なければ僕はアルヴィンの側に居たいなんて思わないし
アルヴィンが居なければ僕は苦痛も快楽も得る事もないし
アルヴィンが居なければ同性にこんな辱めを受ける事もなかった


「ジュード...なに、を」
「...」
「お前、俺の事が好きなんだろ。なんで...」
「好きだから、終わりにしたい」
「...ジュー    ド?」
「アルヴィン、愛してる。」
「ふつー...刺すか」
「...」

「ふふ...はは...ははは」

急に笑いが止まらなくなったのだ。
人が死ぬ、ましてや愛してる人を失うなんて一瞬だった。

「アルヴィンは僕の事を考えて、死んだんだから..僕、幸せだよ」

青白い頬、冷たい唇にキスを落として僕はいった。




病んでますね。
最後の"いった"は言ったでも逝ったでも好きなように解釈して下さい←
背徳を背負って生きるジュード君にドッペルアルヴィンと出会って同じような感じになって
また殺しちゃうっていう話...なんてないな。

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