「ア、アルヴィン、聞いてないよ?!コレ!!」
「これしかないんだよ、悪いな」
「アルヴィンの昔の服くらいないの?!」
「おいおい、何年前の話だよ。」


『ワンピースとピーチパイ』


アルヴィンの家に泊まりに行って、情事をした後が問題だった。
着衣のまま行為を行ったせいで服は洗わないと使い物にはならなくなってしまった。
その時はアルヴィンが「あぁ服ならあるから大丈夫だ」なんて言うから信じて服を洗濯機に放り込んだ。
なのに、アルヴィンが出した服は綺麗な白いワンピースだった。

「第一、アルヴィンがなんで女物の服持ってるの?!」
「あー、昔の女が忘れて行った服だからな。」
「え」
「あー嘘だって、そんな純白な服が似合う程綺麗な人と付き合った事はねーよ」
「別に聞いてないのに..」
「聞きたそうな顔してたから、つい」
「もう...。で、なんでこの服が出てくるの?!」
「いいだろ、じゃあ出かけるか。」
「えぇ?!」

狭い部屋を手を引っ張られて連れて行かれる。
僕が散々嫌と言うと出会った時のように腰から担がれてしまった。

「こ、これは恥ずかしいから...!」
「じゃあ自分の足で歩くか?」
「...うん」
「剥れるなって、なんか美味いものでも食べに行こうな」

僕の頭を大きな手のひらでぎゅっと撫でられて僕の反論を止めさせた。
ずるいよ、僕にこうすると、何も言えなくなるのをわかってるみたいで。

「なんか、スカート、すーすーして...」
「いつもスカートみたいなもん着てるだろ」
「スカートじゃないから!」
「あー、あれ美味そうだな」
「話反らさないでよ。ってアルヴィン!」

またもや手を引っ張って連れて行かれた場所はケーキ屋だった。
店頭にはアルフレド少年が大好きだった焼きたてのピーチパイ。

「いいだろ」
「たまには、いいよ」
「ありがとな」
「あんまり食べ過ぎてお腹壊さないでよ」
「何年前の話だよ」

店員が運んで来る香りの良いピーチパイにアルヴィンの表情にちょっと綻んだ。
それと同時に店のドアのチャイムが鳴り新しいお客さん。

「あら、この前の。」
「あぁ、この前はいろいろありがとな。」

入って来る女性はアルヴィンの知り合いだったみたいで僕の外側での話が進む。
それにちょっと綻んだ顔も嫉妬顔に変わってしまったのかもしれないが女性には見えない位置。

「その子?わざわざ、白いワンピース仕立てたの。」
「...そうだよ、似合うだろ。」
「今までの貴方とは正反対の趣味の服だから、驚いたわ。」
「そういうなよ」
「ねえ、貴方。」
「ぼ、僕ですか?」
「この人ったら私の店の商品に全部ケチ付けてその服作らせたのよ。愛されてるのよ。」
「そ、うですか」
「大事にしてね、私の服も。彼も、ね。」

嫉妬してちょっと恥ずかしくなって、女性が居なくなってアルヴィンに少し構われて。
それに更に恥ずかしくなって目の前のピーチパイに慌てて手を出した。

「うまいか」
「...うん」
「なら、よかった」
「...アルヴィンも、意外と恥ずかしい事できるんだね」
「あ?!、服の事か?」
「...うん、だって、そういうのしそうに見えないから」
「...見たかったんだよ、いいだろ」
「はいはい」

いろいろ詮索するのはやめて、またピーチパイに一口齧り付いた。
ピーチパイに齧り付いてアルヴィンの選んだ服を着て、その姿を見てるアルヴィン。

「子供の頃の記憶って莫大だよな」
「いきなりなに」
「昔、貴族だった頃にまだ若い母さんがそんな服着て庭でピーチパイ食べてたなって」
「そうなんだ、それでお腹壊したんでしょ」
「...まあな。」

そういって何処か儚気なアルヴィンに嵌められたとある日の昼下がりで。
キミとキミのママには勝てないなとまた、ピーチパイに一口齧り付いた。





ジュード君に白いワンピース着せてみたいよ!とか思って。
だけど、スタドラの真っ白の服はあまr(ry
あれは、タクトしか似合う人いないんじゃないのか...←

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