『アルフレド、ほら、良い子だろ?』
『ジ、ジランドおじさん、や、やめてく..ださい..!!』
『なんか文句あるのか、アルフレド』

俺に向かって来るジランドの手を必死で振り払いながらも、
結局その手から逃げる事はできなくて掴まれて犯されたまだ幼かった頃。

「や、やめろ!!!!!!!!!」
「ア、アルヴィン?!」
「触るな!!!!」

必死にその手を振り払おうとして、意識がハッキリした時それは夢の中の事だと思い出した。
最近は見なかったが、ジランドに裏切られてからよく見るようになって来た夢だ。

「ジュード...悪い。」
「アルヴィン..」
「ジュードが悪いんじゃないんだ、気にすんな」

目の前で不安そうな少年にそう声をかけた。
いつもなら頭でも撫でながら言ってやるんだが、どうも触れない。

「その、アルヴィンが魘されてたから、僕、手を...」
「だから、気にすんなって言ってるだろ」
「...うん」

お人好しの少年はとても心配そうに俺を見ていた。
11歳も下の少年に心配される俺も俺だが。

「アルヴィン、最近たまに、あるよね。」
「あぁ」
「ファイザバード沼野の後くらいからだよね、何かあったの?」
「...別に何もねえよ」
「僕じゃ、頼りにならないかな」

まったくおせっかいな少年だこと。
そんな少年に自分の傷を見せるのは自分の性格において辛い。言えない、と思う。
しばらく黙り込んだらジュードが俺へと近づいて来る。

『ほら、アルフレド。こっちへ来なさい。』
『い、いやです!』
『お前がこないのなら俺が逃げ場を無くしてやろう』

ジュードが俺に近づいて、また一つ記憶が蘇る。
こんな風にベッドに追い込まれて、近づいて来るジランドの姿が。

「うっ!」
「アルヴィン?!」
「..ジュード、前じゃなくて横に居てくれるか...。目の前に立たれると、キツいんだよ」
「..うん」

俺の横に距離を置いてちょこんと腰掛けるジュード。
『水でも持ってこようか』なんて気を効かせてくれるけど、水すら吐いてしまいそうだ。

「...アルヴィンが嫌なら話さなくてもいいよ」
「...」
「アルヴィンに過去に何があったか、知らないけど。僕らには、アルヴィンを傷つけようなんてする人は居ないから安心して」
「...急に叫んだりして気持ち悪いだろ」
「そんな事、ないよ。」

俺を必死に宥めようとするジュードの声を呆然と聞いていた。
遠い昔お袋が医者に見せてくれた時は「しっかりと睡眠と食事」なんて言われた。
リーゼ・マクシアに来て読んだ医学書には「酒・タバコを控えてリラックスする事」なんて書いてあったっけ。
こんな生活してるからいつ再発してもおかしくなかったし、その上でジランドに裏切られたからそうなったんだろう。

「時間がかかってもいいよ」
「...一生治んねえかもしれねーぞ」
「それでも、またアルヴィンと触れ合えるようになるなら僕は待つよ」
「...いつものおせっかいか」
「違うよ」
「何が違うんだよ」
「アルヴィンの事が大事だから、僕も一緒に受け止めたいんだ。余計なお世話かもしれないけど」
「...さんきゅ、優等生。」

横をふと向いたら綺麗に微笑む優等生。
"好き"じゃなくて"大事"と言い換えたのはきっと、俺の為を思ってだろう。
そんな健気に俺を思うジュードを、いつか。


『抱きしめれる日が来るのだろうか』





ジランドあたりに昔掘られてPTSDになったアルヴィンをジュードが介抱する話。
精神論ってむずかしい!綺麗事をジュード君は綺麗な顔で綺麗な言葉で綺麗な表情で言うんだと思う。

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