非人道的な行為があります。苦手な方、妊娠中又は不妊治療中の方は閲覧はお辞め下さい。

「おい知ってるか」
「なんだよ。もしかしてアレか?」
「妊娠して退学とか、もっと真面目かと思ってたぜ」
「そっちの方も優等生って事じゃねーの?」
「はは、そうだな」

退学の書類を届けにタリム医学校を訪れた僕はそんな噂話を耳にした。
耳を塞ぎたかった。でも、ここで塞げば僕の中の居る小さい命を否定する事になる。
僕にできるのは、ただ、全てを受け入れる事だけだった。

「ジュード、妊娠して退学とはどういう事だ?!」
「お、お父さん落ち着いて下さい!」
「エリンは黙っててくれ。ジュード説明しなさい。」

父親と言い争いもあり、ル・ロンドにも僕の居場所は無かった。
国の仕事で忙しいガイアスやウィンガル、領地の仕事で忙しいクレインやローエンには合わす顔さえ無かった。
何か、こう、....とても今の僕にはその理由は口にする事はできないけれど。
こうして僕はまた、ひとりぼっちになった。

「さびしい。」
「さびしい。」
「さびしいよ。」

寂れた小屋に僕の声がこだました。
妊娠を知った時、僕自身の自業自得でもあるけどアルヴィンに裏切られた気分だった。
まるで予定調和とでも言いそうなアルヴィンの口角を釣り上げた笑顔が恐ろしかった。
僕はアルヴィンの家を飛び出てそれからアルヴィンとは会っていない。

「さびしいよ。..君は、返事して、くれない..よね」

お腹をそっと撫でるも僕の中の小さな命は返事してはくれない。
寂しさは収まらなくて、誰でもいいから僕の側に居て欲しかった。

「戻って来たのか、ジュード」
「...」
「帰巣本能って奴か?」
「ここは...僕の家じゃないよ。」

久しぶりに来たアルヴィンの部屋。
まるで僕が此処に来るなんてお見通しとでも言いた気な表情で迎えられた。
依存に満ちた笑顔で僕に差し伸べるアルヴィンの手を払い奥のイスへ腰をかける。

「払う事ないだろ」
「...」
「何か言わないのかよ」
「別に、アルヴィンがいいから戻って来たんじゃないから」
「そうかよ」
「ただ..僕は、」

言葉を紡ぐ前にアルヴィンに抱きしめられた。
正直抱きしめられるのは痛いし、ほのかにする酒の匂いには嫌気も差した。

「寂しいよ...!誰でも、いいから..僕を..!」

気づけば目から溢れる程涙が出ていた。
なんて、僕は弱いのだろうか。

「俺なら、ずっと一緒に居てやれる」

この目の前の天使を模した悪魔にまた流され騙される。
アルヴィンの歪んだ依存した愛に僕は飲み込まれてしまう。
それでも...

「寂しいのは..もう..やだよ...!」
「ジュード、愛してる」
「...」
「俺だけはお前の味方だから、俺を愛してるって言って」
「...愛...してる...だから...一人にしないで...」

"愛してる。"
そう僕に言わせた男の表情は僕には見えないけれど、きっと狂ったように笑ってるんだろう。
だって、今 僕の お腹を 殴ったから


『依存論』





なんでこうなったんだろう。なんかすみませんorz
解説的に言うと、ジュードを皆から孤立させるのに孕ませて
ジュードを自分だけの物にしたら子は邪魔になった みたいな。

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