「エリーゼ。いい加減膝から降りろ。」
「やだ..」
「30歳の男の膝の上に乗って楽しいか」
「うん..」
「そーじゃなくて..」

上手く膝から降りてもらうよう誘導するが中々上手く行かない。
16歳になったエリーゼは未だにちょくちょく俺の前に現れる。

「まだ誘拐犯にはなりたくないんだけどな」
「なれば、いい..です」
「ひでーな。」
「ひどくないです」

ブロンドに近い髪が俺の鼻先を霞めて来る。
昔はもっと小さかったのになとため息をつく。

「ふーん...」

エリーゼは手元にあった数枚の手紙をソファーに1枚づつ呼んでは投げて行く。
予想通りの美人になったエリーゼには学校で沢山のラブレターと呼ばれる物を貰うらしい。
俺から見ればただのガキにすぎないが。

「捨てるのか、それ。」
「うん」
「俺構ってないでそいつら構ってやれよな」
「やだ..です」
「どうしてだよ」

そう言うと手元に残った最後の手紙を空中に放り出してエリーゼは立ち上がった。
そして俺に向かい合うように膝の上に座り込んだ。

「つまんない..です。」
「手紙がか?」
「お買い物とかお散歩とか勉強会とかつまんない..です」
「子供には相応だと思うけどな」
「私は..アルヴィンともっと大人の遊びがしたい..です」
「おいエリーゼ、冗談は辞めろよな」
「冗談じゃ..ないです。本気..です」

そう言って俺を見つめて来る16歳のエリーゼ姫。
俺はまた溜息をついた。

「エリーゼがもうちょっと大人になったらな」
「もう16歳..です。」
「それでも俺にとったらガキなんだよ」
「これ以上待ったらアルヴィンがおじいちゃんになっちゃいます..」
「ならねーよ」

そう言ってエリーゼを抱きかかえて起き上がりそっと地面にエリーゼをおろした。

「もう、ちょっとな」

そう言って頭を撫でて俺は部屋を出て行った。
後ろでむすっとしているだろうエリーゼの顔を思い浮かべて少し微笑んだ。

"アルヴィンの馬鹿...です..!"


『魔法が解ける少し前の話』





アル←エリ的なのを。
アルヴィンは『エリーゼを幸せにできるのは俺じゃない』と思ってるんだと思う。
エリーゼはそれでもアルヴィンが良いと考えてる感じだと思う。

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