※ジュードが売春している描写があります。
「なぁ、ジュード」
「何? アルヴィン」
「これがワルイコトだって理解してるか?」
「うん、理解してる」

壁際に追いつめて壁に押しつけたジュードの両手を投げつける様に地面に放る。
何が『うん、理解してる』だ。あんなに艶々しく笑いやがって。

「あれ、もう終わり? お説教は」
「どうせお前にあれこれ言ったって聞く耳もたねーんだろ」
「そんな事ないよ」

ジュードに背を向けてポケットに突っ込んだ拳。
その腕をジュードは後ろから引っぱり俺の行動を静止させようとしている。

「じゃあ聞くけど。お前これで何回目だ」
「さあ、覚えてないよ」
「寂しいからとか、そういうのじゃないだろ」
「そうだね」

静止した足下には倒れる一人の人間。
殺してはいない、ただ気を失っているジュードを買春した男。

「買って貰える時には悦んでそいつに従った癖に、伸びたらこのザマで可哀想だな」

倒れた男の背中を革靴で軽く踏んでもその男に反応はない。
強く殴り過ぎたかもしれない。
むしろ殴るべきは横に居る可愛い恋人かもしれないが俺にはそんな事はできなかった。

「ヤるならせめて俺にバレない所でとかそういう配慮とかないのか」
「それじゃあ意味がない」
「あのな」

背後から俺の腕にしがみつくジュードにそんな言葉をかければまた理解ができない言葉を返す。
苛立って振り向けばジュードは艶々しく微笑んで俺を見上げている。

「じゃあなんでアルヴィンはこんなワルイコの僕を好きでいてくれるの」
「……」
「これぐらいじゃ僕の事嫌いになる訳ないよね。だってアルヴィンは僕に聞きながら僕がどんな事を望んでるのか知ってるから」
「わかったように言いやがって」
「僕はアルヴィンに奪われたい。執着されたい。そう、このヒトを殴る時みたいに僕の事で頭がいっぱいのアルヴィンが好き。だからアルヴィンの居ない所でやる意味がないし、やめるつもりもない」
「物好き、変態」
「なんでもいいよ、あとね」
「なんだよ」
「あと、こんな日のアルヴィンはとっても荒々しく僕を抱くでしょ。そういうのも好きだよ」

俺は横たわる男を避けて前に歩き出すとジュードは俺の腕に抱きついて横に並んだ。
そして相変わらず艶々しく微笑んで俺を見上げている。

「俺がお前を見捨てたらどうするんだ?」
「僕を見捨てる事が出来るの?」

ジュードは相変わらずの表情で俺にそう言った。
俺はそんな妖艶な恋人に惑わされる様にジュードの腕を引いてネオン輝くホテル街へと向かった。

『艶やかな妖の異常性癖』

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