SS Six



「よう、ジュード」
「仕事終わるの早かったんだね。もっとかかると思ってたよ」
「まぁな、久々にトリグラフでゆっくり出来るんだ。仕事なんかすぐに終わらすさ」
「そんなに急がなくてもいいのに。ユルゲンスさん困らせちゃダメだよ?」
「ったくお前のそんな言葉を久しぶりに聞いたよ」
「そうかなあ」
「相変わらずだよ、お前のそのお節介な所はな」
「ふふ。でもアルヴィンが元気そうにしてるみたいで安心したよ。ちゃんと栄養のあるもの食べてるかな、とかシャツに皺が寄ってないかとか、髭をだらし無くしてないかとか心配だったから」
「……本当に相変わらずだな」






「レイアから聞いたけど、ユルゲンスさんと仲直りできたみたいで良かったよ」
「仲直りってなぁ、子供の喧嘩じゃねえってのに」
「だってルドガーが会社のゴミ箱へこましたって言ってたよ? 物に当たるのは大人のする事じゃないでしょ」
「ったく、プライバシーもあったもんじゃねえな」
「知られたくなかったんだ」
「別にそんな事はないよ」
「じゃあ、いいじゃない」
「……んー、ジュード君が俺の日常ばかり知ってるのもなんか狡いだろ? 俺が知ってるのは俺抜きであの最高級牛肉50kgを食っちまった事ぐらいか?」
「随分根に持ってるよね、それ」






「それにしても、おたくの部屋ってさ本増えたよな」
「うん、必要なものだからね」
「家にまで持ち込んで、ヘリオボーグに持って行く時大変だろ」
「そうでもないよ、研究で使うものばかりじゃないから」
「ったく相変わらず勤勉だな。……にしてもこの本棚の本分厚い本ばかりだな。図鑑か辞書か?」
「えっとそれは……」
「なんだよこれ、数字の羅列ばっかりじゃねえか……時刻表か?」
「うん」
「……駅で見れば良いんじゃないのか?」
「……必要なものだからね」
「わかった、よくわかったから」
「うん」






「知らない間に新しい趣味を見つけたみたいだな」
「ちょっとこうして会わなかっただけでしょ? それに僕だってアルヴィンの事知らない事多いよ。この前エリーゼに」
「あぁ、俺の小さい頃の話か」
「でしょ? 意外とお互いが知らない事ってあるんだよ。皆が知ってるけど、僕は知らない。アルヴィンも知らない事って」
「そんな寂しい事言うなよ」
「別にそんな寂しいなんて言ってないよ」
「要するに俺の情報がいつも後回しで入って来るのに拗ねてるのかー」
「だから拗ねても無いから」
「……じゃあ、俺だけしか知らない俺の事をジュードに教えてやろうか」
「……え?」
「俺がジュード君の事大好きな事」
「………!!」
「顔真っ赤にして可愛いなぁ、ジュード君」





20130513~20130531
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