SS Six



「ねえ、アルヴィン」
「なんだ、ジュード」
「バランさんに渡されたGHSなんだけど、使い方がよくわからなくて」
「おいおい、こういうのは若者の専売特許じゃねーのか」
「若者って、アルヴィンはまだ若者……じゃないの?」
「そこ、変な空白いらねーから」






「仕方ねーな、俺も全部わかる訳じゃないけど教えてやるよ」
「ありがとう、アルヴィン!!」
「おたく本当にGHS貰って嬉しそうだな」
「だってこれがあれば離れていても連絡がとれるんでしょ?」
「そんなに離れてて連絡取りたい奴でもいるのか?」
「え? アルヴィンにだよ。だってあの船で偶然合わなかったら次会えるのはいつかわからないでしょ」
「ジュードくんごめん、真顔で言われると少し恥ずかしいわ」






「それに、GHSの使い方の本だって買ったんだよ……!!」
「おたく本当に楽しそうだな。えー……と、一日の始まりと終わりは恋人とのGHSテレビ通話から、GHSテレビ通話で可愛く見せる角度……これ使い方じゃねーだろ」
「……うん、僕も買ってから気付いたんだ」
「まぁ一日の終わりにジュードが見れるようになるのは嬉しいけど」
「でしょ? そうしたらアルヴィンの寝癖酷いとか髭が1mm伸びたとか言えるでしょ」
「なんかおたくのそういう所懐かしいよ」






「じゃあ、とりあえず通話の仕方から教えてやるよ」
「え、いいの?」
「教えてっつったのおたくだろ。ほら貸してみろ」
「うん……!」
「こうやってやるから……じゃあとりあえず俺にかけてみろ」
「えーっと、……はい、できたよ!」
『おーそうそう、かけれたな』
『わっ、アルヴィンの声が耳元から聞こえる!!』
『当たり前だろ、通話なんだから』
『凄いね!!』
「と、まあこんな感じでやれば通話できるからな」
「でもこれ、持ってない人から見たら独り言の変な人みたいだね」
「ジュードくんがGHS持ちながらフラフラ歩かなかったりお辞儀とかしたり顔に出さなきゃ大丈夫だよ」






「じゃあ次はメールのやりかた教えて、アルヴィン」
「メールはまずここの画面開いて……で、送信したい奴の名前を入れて、本文を打って送信するだけだ。試しに何か送ってみろよ」
「えー……と、は、い、け、い、アル……あれ、ヴってどうやって打つの?」
「とりあえず、メールなんだから拝啓とか敬具とかいいからな優等生。それにヴなんて打つ機会ないだろ、そんなに」
「あるよ、少なくともアルヴィンの名前打つのに2回は使うよ?」
「そりゃあ悪かったな、……こうやったら出るから」
「あ、本当だ。ヴ、ヴ、ヴ……凄いちゃんと出るんだね!! 送れたよ」
「ところで、おたくから今来たメール。ヴしか打ってないんだけど」






「アルヴィン、GHSの使い方わかったよ!! ありがとう」
「そりゃどうも」
「着信音の設定とか顔文字の設定とか待ち受け画面の設定とかいろいろ弄ったら楽しいね」
「な、なんかお前が眩しいよ」
「なんで?」
「いや、なんでもないよ。」
「でも離れた人と会話出来たり手紙が送れるのって便利だと思うよ」
「そうだな、優等生が寂しがるから俺もこまめに送ってやるか」
「アルヴィンだってそうでしょ?」
「そうかもな。でも、俺がこんな電子端末越しだけで寂しさを埋めれるなんて思うなよ」
「……アルヴィン」
「でもおたくも俺も新しい人生を歩いてんだ、常に一緒に居れる訳じゃない。だからあるに超した事はねーな」
「そうだね!!」





20130120~20130513
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