「ねぇ、アルヴィン」
「..なんだ、ジュード」
「気分、悪かった?だったら後でも...!」
「何時でも一緒だ。用件はなんだ?」
「買い物に行かない?」
「他の奴誘って行けよ。嬢ちゃん達が居るだろ。」
「アルヴィンと一緒に行きたいなって思って..」

そう俺に好意を寄せて来るジュード君は言って来た。
正直面倒だった。買い物に行く自体もだが、ジュード自体もだ。
あんまり跳ね返ししすぎるとまたティポの餌になるのも御免だった。
結局、町へ繰り出す事になったしまった。

「ねぇ、アルヴィンってば聞いてる?」
「あーなんだっけ。」
「もー。あ、これアルヴィンに似合うんじゃない?」
「スカーフか。でもこれ気に入ってるからな。」
「だと、思った。」
「大切な人から貰った物だからな。」
「ふーん。」

そう言うジュードは少し不貞腐れたような表情をしていた。
俺の一声に一喜一憂するジュードを見るのも飽きてしまった。
始めは興味があったがそれもしばらく続けばさすがに飽きてしまった。
ここら辺が、潮時か?

「ジュード、ちょっとこっち来いよ。」
「何、アルヴィン?」

少しわくわくしたような顔をしたジュード、罪悪感はほんの少しあったのかもしれない。
路地の影になっている所にジュードを誘導した。

「おたく、俺の事好きでしょ」
「え..?」
「ジュード君分かりやすいからな」
「ア..ルヴィン..?」
「こんな回りくどい事しないで、抱いて欲しいとか言えばいいんじゃない?」
「...」
「図星?あ、でもジュード君は純粋だからそんな事言えないよな」
「ル..ヴィン...」
「まぁ、そんな事言われても困るけどな。だって気持ち悪いよな普通。」
「アルヴィン...最低...!!」

"バチン"

俺の顔面に一発鉄拳が降って来た。まぁ、これは予想通りだった。
正面を向くと目から涙をポロポロと流すジュードの姿があった。
そしてそのままジュードは俺の前から居なくなってしまった。

そこからはまた普通の生活に戻っていた。ただ、少し抜けているものはあったが。

「アルヴィンおはよう」
「おは」
「エリーゼ良く寝れた?」
「大丈夫..です..。」
「ローエンはまだ部屋かな。僕呼んで来るから」

俺の周りからジュードは居なくなってしまった。
皆に悟られないように俺にも普通に接するが本当に他人行儀だった。
そして、俺は何か良く分からない喪失感を抱えていた。
その正体に気づく事がこの先あるかさえわからないけれど。


『正体Xの喪失』





意地悪な俺と可哀想な少年の続きを描いてみました。
ジュードが凄く可哀想です。

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