何故、こんな事になったのだろうか。
そんな事を冷静に考える程余裕はないはずなのに"何故、何故"と思いを連鎖させるしか僕には出来る事はなかった。


『源霊匣と僕の関係』


あれは僕が家に帰ろうとする時にバラン所長から預かったものが原因だったはずだ。
1体、また1体と精霊の化石から源霊匣の生成に成功し今日も1体が源霊匣として再び産まれた。

「うーん、困ったなあ」
「どうかしたんですか? バランさん」
「この子なんだけど、あんまり元気がなくてね。ほら、夜間ここは無人になるからこのまま置いて帰る訳にもいかないし。それに連れて帰るとしても僕は足が悪いから何か起きた時に対処が君たち程すぐ出来るとは限らないだろう」
「じゃあ僕が預かりますよ?」
「いいのかい? 君の所には植物系の子が1人居るだろう」
「ですけど、何もしなかったら大人しいので大丈夫ですよ。それにこの子も大人しいみたいだから……」
「じゃあお願いしても大丈夫かな。くれぐれも大切に接して」
「はい」

そして僕は比較的大人しいウルフ系の源霊匣を優しく持ち上げて帰路につく。
この時の僕は数刻後に待ち受ける事よりも、この源霊匣が元暮らしていた生態系について考え早く元気にしてあげなくちゃ、そんな事ばかり考えていた。
そんな事を考えながらもアパートに着き、柔らかな毛布の上にその子を置いて夕食の準備に取りかかる。

夕食を作りながらも、考えるのはその元気がない源霊匣の事で頭が一杯だった。
源霊匣はたしかに生きていて、精霊の時の記憶も持ち合わせている。
ならばこの子の命を化石に変えた原因が人間だとしたら、この子は怯えているもしくは警戒してこうなっているのだろう。そんな予測を立てた。
その仮説が確かならこの子に必要なのは警戒を解く事ではないかと思った。

「僕の家にももう一人君と同じ子が居るんだよ」
「僕は君に危害を加えたりしないよ」

夕食を食べ終え、相変わらず毛布の上で踞る源霊匣に語りかけるように呟く。
僕の話に耳を傾けているのか耳をピクピクと動かす動作をし、そのまま話し続けるとこの子は踞っていた身体を起こし僕を見つめて来る。
そうしてゆっくりと時間を掛けながら源霊匣との距離を縮めていけば、数刻後にはこの子の方から僕の膝上に乗っかって来る程友好は増した。

「良かった、ただ怯えていただけなんだね」

そう源霊匣を可愛がるように接すれば、一層にこの子元気を取り戻した。
と、ここまでは何も問題がなかったはずだった。
この子が僕の身体に乗り上げ僕の顔を舐め出し、僕の服の中に潜り込み胸を舐める。

「まって……僕は君の……!」

精霊に父や母がある事はわからないが、この子は生物的本能で僕を親か何かなのだと認識をしているのだろうか。
ここでこの子の手を払ってしまえば、せっかく友好になれた関係も壊してしまうと思うとこの手で払う訳にはいかなかった。

「……っ、耐えなきゃ……」

耐えなきゃ、と思えば思う程身体に感じる違和感は増大していく。
その上僕の身体は先日の出来事で快楽を覚えてしまっている、耐えきれるかどうかなんて僕にはもう測れなかった。

しかしこの子は僕が反攻しない事で"やっていい事"とはっきり認識をして僕の身体を舐める行為をやめようとはしない。
そして僕はこの行為に感じてしまっているのか、気付いたらあの先日の植物系の源霊匣の触手が僕の身体の方に伸びているのが視界の端に映る。

「待って……! お願いだからっ、いつもの姿で居て……!」

植物系の源霊匣にそう叫ぶように願うが、その触手は更に伸びて僕の肢体に絡まり始める。
その動きに身を屈めて目を閉じ、入り来れないようにすれば四方から伸びて来る触手に腕と足を掴まれ身体を開かれる。
耳元からズルズルと聞こえて来る音にゆっくりと目を開ければ触手の一本が僕の目の前で粘液を垂らし、僕の口に進入しようとしている。

「っ!!」

苦い粘液に咽せるが、触手はお構い無しに僕の身体を這い回り僕の衣類を何本かの触手で剥がせば僕の服の中で丸まっていたウルフ系の源霊匣は咄嗟の事で怯え出した。
僕は絡まれた腕でなんとかその子を掴み、撫でれば次第に落ち着き僕の指を舐めた。
その間にも触手達は衣類に隠された僕の性器を見つけ、この子との行為でわずかに溢れた蜜を摂取しようと性器に絡まった。

「んっ、く、るし……っ?!」

口の中で動き回る触手の苦しさに嗚咽を漏らせば、僕の手の中で大人しくしていた源霊匣が急に唸り始めた。
おそらくこの子は僕の指を舐めた時に触手の粘液を舐めてしまい、発情してしまったんじゃないかと考えたくもないよ予測をしてしまった。
その予測は当たったのか、ウルフ系の源霊匣は触手と一緒になって僕の下半身に移動し僕の身体を舐め回した。

「どうして……っ、大人しくしてっ……!っんっ!」

二つの源霊匣の行動はエスカレートして、細い触手は僕の足に絡まり僕の足を持ち上げる。
それに反応するように一本の触手は僕の性器を飲み込むように先端を大きく広げて根元まで銜え込む

そして持ち上がった足により後穴を暴かれ、細い触手が枝分かれするように後穴を広げ粘液を僕の体内に埋め込んでいく。
その一過性な動きに僕の身体は本能され、否が応にも僕の身体は熱くなり快楽に酔い痴れる。

「ああぁっ、っ--くっ!ひあぁっ!」

しばらくして、触手のヌルヌルとした異物とは他に形状が違う異物が僕の中に進入していくのを感じる。
不安になって見たくもない下半身に視線を移せば、あのウルフ系の源霊匣の性器が僕の中に進入していた。
そして二つの源霊匣は悪知恵でも働くかのように僕を責め立てそれすらも気にも止めれない程に僕の身体を犯していく。

「ひっあ……っ、も……だめえっ!」

昂った熱を開放すれば、性器を銜え込む触手が全てを飲み込みもっと吐き出せと言わんばかりに僕の性器を吸い始める。
僕の身体の中に埋まる源霊匣は僕の熱の開放など気にも止めずに僕の身体を暴き続けた。

「はっ……あっ……、も…………だめ…………」

そして僕は二つの源霊匣に犯されたまま、気を失うように意識を手放した。
目が冷める頃には触手達も元の植木鉢に戻りただの観葉植物のような形を保ち日光を浴びている。
預かったウルフ系の源霊匣と言えば、僕の身体の上で丸くなり静かに眠っていた。
全てがもう終わっていた事に安堵し、ベトベトの身体をゆっくりと起こしシャワールームへと向かう。
その動作で目覚めたのかウルフ系の源霊匣が僕の後ろをゆっくりと着いて歩いて来る。

「君もベトベトだから、綺麗にしないとね」

そう言って、源霊匣の身体を綺麗に洗い僕はこの子を抱き上げてヘリオボーグへと足を進める。
研究室に入ればバランさんは既に居て、椅子に座り新聞を読んでいた。

「おはようございます、バランさん」
「あぁ、ジュードくん。昨日はありがとう。……どうやら、随分ジュードくんに懐いているみたいだね」
「……そうかもしれないですね」

卓上の上にそっと源霊匣を置けば、相変わらず僕を見つめて来る。
その瞳はまるで「mamma」とでも言いたげだった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -