僕達がワイバーンで空を飛ぶ為にカン・バルクのガイアスの城へ赴いた時の事だった。
門番の兵士は何故か僕一人を先に通し、謁見室へ案内した。
もちろん皆は心配したが、ここで王様の機嫌を損ねてはいけないと僕は言い一人謁見室へ向かった。

「お前がジュードだな」
「なんで……僕の名前を知ってるのですか」
「さてな……、お前等の仲間に一人混じっている嘘吐きのお陰かもしれんな」
「嘘吐き……?」
「お前も勘付いているのではないのか?」

そう言い玉座から僕に一歩一歩近づいて来るこの国の王は威圧感で圧倒する僕の顎を持ち上げ目線を強引に合わせた。
その行動の意味がわからなくて視線を反らそうとする僕を許さないかのように視線を浴びせた。

「気づいてるのに気づかぬというのならお前はよっぽどの愚か者なのか、俺の思い違いか」
「……どういう、意味ですか……」
「アルヴィン、あの男がお前等の中の裏切り者だと気づかないのかと言っている」
「……ア、アルヴィンは……そんな事しない、僕を裏切るなんてしないです!」
「僕をか? 僕達を、ではなくて」
「そっ、それは……」
「……ほう、これは面白い。」
「っ……!」

王は僕の顎を引き寄せると共に、腰を抱きそのまま僕の唇を奪った。
そして唇を離すと怯える僕をよそにガイアスは言葉を続けた。

「お前、あの男を好いている……もしくは好き合ってるのだな……」
「……! それが、何か……問題でもあるんですか……!?」
「お前を我が腕の一人に迎えようと思ったが、好意から嘘に気づかぬ愚か者だったとはな」
「……アルヴィンは……僕を裏切ったりしない……」
「それはどうかな」

王の腕から抜け出そうと腕に力を込めるが、この手から抜け出す事はできなかった。
そしてガイアスはその抵抗すら笑い、更に言葉を続けた。

「あの男は裏切る、既にお前達の情報は売られている。……ワイバーンに乗りたいのだろう?」
「……?!」
「信じられない、みたいな顔だな。だがこれは事実だ。これは仕組まれた旅だ、ジュード」
「嘘……です、……嘘だ……!!」
「色欲に溺れ真意を見失う愚か者だとは思わなかったな、……目覚めさせてやろうか」
「……?! な、何をするの……?! 貴方は……!!」

腰を抱いた手でそのまま持ち上げられ、僕は王座に身体を押し付けられ服を剥ぎ取られていた。
ガイアスの目は冷めていて、僕の抵抗など構わずに僕の身を開けさせた。

「俺はこの国の王のガイアスだ、あの男に溺れ自らを失っているお前を救ってやると言ってるのだ」
「……ぼ、僕は自分を見失ってなんか……!」
「ならお前をこうして救わなければ、お前等は纏めて捕まえられてたというのにも関わらずあの男を信じるというのは愚か以外なんと言うのだ」
「……っ! ……嘘でしょ……アルヴィン……!」
「……これが真実だ、そして俺はお前を手に入れる」
「ひっ!」

ガイアスの指が僕の胸をなぞり、乳房を揉まれ指先で乳首を摘まれると思わず口から甲高い声が漏れる。
その声を冷やかすかのように冷めた目で僕を見つめるガイアス。
その行為は僕が抵抗という言葉を忘れるまで続けられ、ガイアスの指先に踊らされ悦に浸る頃には顔は紅潮としていた。

「あの男にもこういう風に身体を明け渡したのか?」
「ひゃっ、いっ! ア、ルヴィンは……! んっ!」
「あの男が何だ? それともあの男のように早く下半身を暴いて欲しいとでも思ってるのか?」
「ひあっ!」

ガイアスは僕のズボンを引き下ろし、秘部から溢れ出る愛液を指で絡めとり上部の突起に塗り付けた。
熱を待つ僕の身体はその行為ひとつに酷く反応し、淫らな声を発した。
ガイアスはその行為を続けつつも、開いた指で僕の秘部に指を侵入させ中を弄くり回した。

「あっ、ん!!」
「合意でないのにこんなに溺れるとはな。だからあの男に溺れたのだな」
「んぁっ、ちっ、ちがっあぁ!」
「何が違う? お前は情に流されて自らの欲に正常な判断を失っているのだ」
「そっんな、こっ、ないっ……!」
「だがお前は間違いなくこの先裏切られる、だが俺はお前を救ってやる事ができる」
「へ……っ?! ああっ!」

ガイアスは僕の下半身を暴く指を一気に抜き、僕の両足を持つとそのまま玉座に体重を預け性器を秘部へ突き立てた。
ガイアスは僕の身体を暴き、犯しながらも僕へ言葉を掛け続けていた。
熱に頭を焼かれ、朦朧とする脳内にガイアスは囁きながら僕の心をアルヴィンから奪おうとしていた。

「ひゃっ!! んっ、じゃ、ぼ、っ僕は……どうすればっ……!!」
「俺に全てを預ければ良い、そしたらお前の望むものも未来も全て俺が与えてやる。そしてお前は俺の元で泰平を見れば良い」
「あああぁっ!!」

繰り返される律動に僕の身体は悦び、気がつけばガイアスに身体を許し僕自身達していた。
玉座で荒い呼吸を繰り返す僕をガイアスは僕の頬のなぞり、再び唇を落とした。

「ジュード……俺がお前を救ってやる」
「あ、なたが……?」
「あぁ、あの男を忘れこの世界の未来を歩みたいのなら俺の名前を呼べ、導いてやる」
「ガ……イ……ア……ス…………」
「そうだ、それでいい。ジュード……」

そして僕はガイアスに身も心も奪われてしまった。
そう、アルヴィンを見捨てた。
ただそれだけだった。
僕は暗がりの中歩き、アルヴィンが捕らえられたという牢屋へ向かった。

「おい、ガイアス。俺まで捕まえる事ないだろう、話が違うじゃねーか」
「ガイアスは来ないよ、アルヴィン」
「……! ジュード、お前、帰ってこないと思ったらどうしたんだ……!」
「そんな事もうどうでもいいんだ、アルヴィン。僕はアルヴィンにお別れを言いに来たんだ」
「……どういう事だ……ジュード、さっきの話なら悪かった……ちゃんと話はするからお願いだからここから出してくれ」
「出さないよ。僕はもうガイアスのもの。ガイアスの作る世界を切り開く一人に過ぎないから」
「ガイアスのものってどういう事だ、ジュード!!」
「もう僕達は終わったんだよ。僕はもう全てをガイアスに差出してしまったんだ。さようなら、アルヴィン……」
「おい、ジュード!!」

その言葉を残し僕は牢屋から去った。
後ろから叫ばれるアルヴィンの声は永遠と続いていた。
それすらもう過去に過ぎない。
僕はもう、君が必要もないくらいに彼に奪われ導かれてしまったのだから


『玉座に散った僕の初恋』

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