SS Four



90万個目の時歪の因子が生まれた頃、オリジンは悩みを抱えた。

「クロノス、あと10万でこのゲームも終わってしまうね」
「謝って憎み合って90万か、この様じゃ10万もすぐだな」
「でもそれじゃあ面白くないと思うんだ」
「お前の気まぐれにも困ったものだな、何をするんだ」
「正しい選択に導けるように台本を書いてみたんだよ」
「...あの様の人間達に意味はないと思うがな」
「それならそれでいいんだよ、ゲームだからお助けアイテムが必要だろう」

そしてこの世界に正しい選択を導く為の本が舞い降りたのだった。
それは例外無くこの運命の中枢の元にも舞い降りて、歯車は回り始めた。

「アルヴィンすまない!!」
「ってか、自己紹介してないだろ!!シナリオ守れよ、ルドガー」
「それが..台本から既に逸脱してしまっているんだ...ここはもう分史世界のようだ」
「ジーザス..なんて事だ..」
「アルヴィン!!ルドガーが悪いんじゃないんだ..!!」
「ジュード、何かあったのか?!」
「僕がうっかり特級列車の車体の傾斜を眺めていたら電車に乗り遅れてしまったんだ..!」
「くっ、これも鉄道オタク属性が付加された罠か...!」
「どうしよう、ルドガー...!少女を救うどころか出会う前に終わっちゃったよ..!」
「もう正史世界の俺達に消されるか、分史世界が消えるのを待つしかないな...」
「そうだね..でも待つだけなら正史世界の為になるように待とうか」
「相変わらず優等生の考えだな」
「んー、分史世界を減らすとか?」
「それぐらいしかないかな、僕皆の所に報告してくるよ」

この世界に舞い降りた正しい選択を導く為の台本は数ページで破綻した。
オリジンはつまらなそうに、やめたと呟いて扉の奥にまた閉じこもった。

「ルドガー、分史世界には同じ存在が重複しても消えないんだよな?」
「あぁ、たしかそうだったはずだ」
「なら、お願いがあるんだけど。ついででいいから」
「いいけど、何だよ」
「それはな..」


L1「嫌だよ、そんな面倒な事」
R1 「アルヴィンの浪漫はよく分かった、まかせとけ」






「アルヴィン、まず一つ目の分史世界のジュードだ」
『ここ、何処...?僕、イル・ファンに居たはずなのに...』
「懐かしいな1年くらい前のジュード君?」
「たしか、それぐらいだったはず」
「初々しくて可愛いな、ジュードくー」
『ぎゃっ、な、に?』
「...?ジュード君、俺の事わかる?」
『...知らないけど、痴漢だって事くらいしかわからないんだ..ごめん..離して..』
「おい、ルドガー一体何処から連れて来たんだ」
「アルヴィンが連れて来いって言うから授業中のジュードを連れて来た」
「授業中ってそりゃまだ出会ってねーよ..」






「アルヴィン、さっき破壊してきた分史世界のジュードを連れて来た」
「サンキューな、俺の世界のジュードはミラに報告する為に時空をどうしようか悩んでて相手にしてくれないんだよ..」
「それは災難だったな...」
『あ、アルヴィン!!』
「おっ、今度はちゃんと俺の事を知ってるんだな」
『アルヴィン、アルヴィンのお陰でリンクが上手くできるようになったんだ!』
「そうか、何ならまた特訓でも何でも付き合うぜ」
『ありがとう、アルヴィン、あれ..?アルヴィン髭...?』
「ジュード君がこんなに懐いてるのも初々しいな」
「あぁ、イラート間道でリンクの練習してる所を連れて来た」
「いや、ちょっと待てよ。その世界の俺多分泣いてるぞ」






『ここは分史世界?それにしても随分時間軸は昔だね。懐かしいよ。まさか殺そうとしたルドガー本人に助けられるとは思わなかったけど』
「ルドガー、そこの流暢に喋ってる奴は...」
『アルヴィンじゃないか。その髭と香水の匂いからして6年ぐらい前かなあ』
「ジュードが22歳か..こんなに大人っぽくなるんだな、綺麗だな」
『それでも僕とアルヴィンの年齢差は埋まらないなんて悲しいよ、あと4年後に出会ってみたいよ』
「俺はこの年齢のままでいいよ、そうじゃないとおたくに甘えて心根腐っちまいそうだからな」
『ふふ、僕の世界のアルヴィンも同じ事言ってた』
「ところで、ルドガー何処からこんな成長したジュードを見つけて来たんだ」
「あぁ、ヴィクトルに殺害されそうな所をなんとか連れて来た」
「お前よく無事に帰って来たな」






『あーい!』
「なあ、ルドガー。返して来い」
「無理だ」
『あーい!』
「あとアルヴィン、もう一人連れて来た」
『...僕、何か出来ることある..?何でもするよ...?』
『あーい!』
「とりあえず、この子は何処の世界から連れて来た」
「ル・ロンドで近所の子供に虐められてたからつい連れて来てしまった」
『あーい!』
『僕、ちゃんとお手伝いできるよ...?』
「じゃあこの子と遊んで貰えるか?」
『うん...!』
『あーい!』






『...僕をここに連れて来てどうするの?...もう殺してもいいよ..』
「ちょっと待てルドガー、何処から連れて来た。明らかにハミってるじゃねえか!」
「ハ・ミルから連れて来たよ、ちなみに時歪の因子はアルヴィンだ」
「...っ、俺何したんだよ...」
「知りたいか?」
「...いいよ、つうか怖いよ」
『...アルヴィン殺すって言った癖に、殺せないの?』
「殺さねーよ、ジュード。目を覚ませ」
『...ふふ、アルヴィンが変な事言ってる』
「あぁ、変な事かもな。ジュード..」
「アルヴィン、そろそろこの世界のジュードの重複が多分やばいぞ」
「これが俺にとってのシバルリーだな」
「ジュードが帰って来たら怒るぞ」
「あぁ、怖いな」





「ただいま、アルヴィン?!!」
『あーい!』
「ジュード君、おかえり」
「アルヴィン何これ、っていうか僕がいっぱいってどういう事?!」
「いやジュード君が構ってくれないからつい」
「つい、でこんな事しないでよ!そもそも...」
「そもそも、何?」
「ア、アルヴィンには僕が1人居れば十分でしょっ...!」
「じゃあこのジュード君1人でも?」
『あーい!』
「ぼ、僕がアルヴィンの側に居たいの!」
「そんなに赤面して涙目で言わなくてもわかってるって」
「もう、アルヴィン...!」






「そういえば皆に報告に行ったんだろ、どうだったんだ」
「ミュゼとローエンはいつも通りだったよ。ガイアスはGHS繋がらなくて大変だったよ!」
「そりゃあ災難だったな」
「レイアも、正史世界の自分が来た時の為に秘奥義を授けるとか言って無駄に張り切っちゃって」
「あぁ、ありえるな。エリーゼは?」
「なんか時歪の因子になった特級列車が紫色になって可哀想だからピンクにするとか言ってるんだよ」
「プロピンキスト恐ろしいな」
「ミラはミラでこの隙にマクスウェル饅頭を完成させるとか言ってて..帰って来たらアルヴィンが僕を増殖させてるし..」
「まぁいいじゃねえか、これが俺の幸せ」
「...僕はとっても微妙だよ...」
「大丈夫だよ、俺の一番は俺のジュードだけだから」
「はいはい」
『僕達はお邪魔みたいだね』
『お邪魔..?』
『僕もアルヴィンと話したいのに..』
『課題の締め切りが近いのに』
『あーい!』
『あっちで皆で読書でもしようか、ね、僕達』





20121204~20121217

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