エレンピオスのトリグラフに立つ、クランスピア社。
佇まいから威圧を放つその場所に行かなくてはいけない事に落胆する。
リドウからの呼び出しだ、本当の事なら行きたくなんてない。
しかし、源霊匣に関わるのならば話は別だ。
嘘だとしても、何か掴めるとしたならば行かなくてはならない。

「...今日は何の用ですか、リドウさん」
「そう身構えるなよ」
「あんな事があった後に貴方と普通に接する事なんて僕にはできません」
「そういう風に言うなよ、君の大好きなマクスウェル様を呼んであげただろ」
「...!」
「まあそんな野暮な話はどうでもいい、うちのエージェントが任務中にとある精霊の化石を入手したんだ」
「精霊の化石ですか」
「ああ、それもマクスウェルの化石だ」
「マクスウェルの?!」

僕らは1年前にマクスウェルが消えるのを皆で見ていた、だから化石が存在するのも可笑しくはない。
けれどもこんなに短期間で大精霊の化石が入手できたならば研究は更に進む可能性がある。
もっとも、これが"本物"であるならばの話だけれど。

「あぁ、ちなみに本物だ。元はイバルというエージェントが持っていて君の研究所の所長に手渡すと言っていた物を強引に奪い取ったぐらいのものだがな」
「なんて卑劣な事をするんですか」
「卑劣ねえ。で、この化石を5000万でどうだい」
「...お金が目的なんですか?貴方は僕が払えない事を知っていてそういう金額をふっかけるのですよね」
「はいはい怒らないで」

たしかにマクスウェルの化石だ。世界に一つしかないのだろう。
それぐらいの値段がつくのも分かる。
しかし、この男はお金以上に何かを企んでいると感じる。

「ならこの化石はアルクノアにでも流すかな。これで出来た源霊匣なら街一つぐらい簡単に破壊してくれるだろう」
「源霊匣の暴発によるテロが目的なんですか?!貴方は一体何を..!」

僕がそう言うと、この男は急に笑い出した。
何を考えているのかまったく想像がつかない。
むしろ、考えが分かるというのもこの男に限っては嫌だと思うけれど。

「さあ、どうする?5000万円払うか源霊匣によるテロを起こされるのか」
「でも僕にはお金なんて...!それにGHSで今管理されてしまえば研究が続けられない..」
「じゃあ君に特別な分割払いを提案させてもらおう」
「分割...?」
「うーんどうしようか、500回はさすがに可哀想だから50回にしてあげるよ」
「そんな、毎月100万円も支払うなんて無理です..!」
「あーあー、大事な事を言うのを忘れていた。分割なら払う対価は金じゃなくていい、体で返してくれ」
「体ってどういう事ですか?!」
「だから君の体を一晩100万で買ってあげるって事だよ。それが嫌なら5000万円払うか、借金して制限されるか、源霊匣でテロを起こされるか選んでいいよ」
「...貴方はそれで僕に選択権があると思ってるんですか?!」
「思ってるよ、だってルドガーに比べたら4つも選択があるんだよ。嬉しいだろ」
「くっ...なら、力づくで貴方から取り返すと言ったらどうします」
「君が一番取らない手段だよね?それ。それに、ここはクランスピア社だ。敵の敷地内なんだよ、わかってる?」

リドウが手を上げた瞬間、部屋に入って来る無数の警備エージェント。
各々が銃を手にしている、僕がこの場で何を言うのか想像はついていたのだろうか。
拳の手を緩めると、リドウはエージェンとに部屋から立ち去れと合図を交わした。

「おりこうさんだ。さて。どうする、ジュード・マティス」
「....分割で...払います...」
「敬意が足りないね、ほら、もっと感謝するべきだよね」
「..ありがとうございます....」

本心では思っていない言葉。
しかし、この男はそれを言えと遠回しに脅しているのだ。
そしてこの男は僕のそんな表情を見て満足そうに笑う。

「じゃあ、脱いで」
「...へ...」
「自分で選んだんでしょ?君の体を100万で買うんだよ。まさか雑用とかそんな事で済むなんて思ってた?」

なんとなくそんな予感はしていた。
しかし、この男にそんな趣向があるなんて思わなかった。
だからなるべく良い方向に考えていたはずなのに、事態は悪い方へと転がって行く。

「ほら、俺が誤ってジランド・ユル・スヴェントの後を次ぐアルクノアのリーダーへの番号にダイヤルする前に」
「...くっ....」

観念し、白衣を脱ぎ地面に落としそれに続いて一枚一枚脱いで行く。
その姿を見てリドウはまた笑い、僕の心は羞恥に襲われる。

「傑作だな、それまでして源霊匣を完成させたいのかよ」
「...」
「やるなら早くしてって顔するなよ、まずはじゃあこれ舐めろよ...っても初めてはやりにくいから手貸してやるよ」

そういうとリドウは僕に近寄り僕を跪かせ、僕の口に彼自身の性器を入れた。
喉の奥につっかえ、ゲホゲホと苦しむ僕をまたしても彼は笑う。
そんな彼は僕の耳元に顔を近づけると『上手にできたら2回分減らしてやっても良い』と呟いた。

「ああそうだよ、やれば上手くできるじゃないか」
「..」
「君のデータ勝手に入手させてもらったけど、君小さい頃虐められてたんだろ?だからこういう事慣れてるだろ」
「っ..」
「ほら、もっと湛然に舐めろよ。怒りで疎かになってるぜ」

この男は僕の動きに満足しないのか、僕の髪を掴んで無理矢理に上下に揺らそうとする。
その動きは次第に早まり、口の筋肉が追いつかなくなり口端は緩み唾液がクランスピア社の真っ赤なカーペットに染込む。
それをリドウは構いもせず僕の頭を揺らし口内の性器を膨張させその熱を口内から引き抜くと僕の顔面に精液をぶちまけた。

「うぇっ...うっ...」
「こんな所他の誰かに見られたらどうする?あの有名聡明なジュード先生が己の理想の為に嫌な男に恥辱されているって結構なスクープだよな。そうだったら、エレンピオスの人間も少しは同情して耳を傾けてくれるかもな」
「...っ..」
「無反応かよ、面白くないな」

荒い呼吸を踞り整える僕の体をリドウは持ち上げると部屋の奥まで連れて行く。
この部屋は外への壁が全てガラス張りになっている。そんな壁に僕を立たせてガラスに僕を押し付ける。

「40階建てで良かったな、普通の会社じゃ丸見えだぜ」
「...何を...」
「ガラスに手付いて、俺の尻を向けろ」
「!!」
「ほら、早く終わらせたいだろ。それにこの会社の下には君の大事な友人がいるだろう。特にあの2人は視力が良さそうだから見えるんじゃないのか」
「...!」
「そうそう、俺に見えるようにもっと高くな」

ガラスに手を付き、リドウに尻を向ける。
どうか、アルヴィンとレイアには気づかれませんようにと頭の中で何回も唱える。
そう唱えていると、リドウが僕の腰を掴み太く固いものを一気に入れて来る。

「あ"あああっ!!!」
「君がこんなになっても、君の大好きな精霊さんは何もしてくれないんだね。可哀想に」
「うあぁぁぁあぁぁっ」
「そんなに大声出すなよ、姿は見えなくてもここにはルドガーだって居る事を忘れるなよ。まぁ、聞こえないと思うけどな」
「っく、ぬいてっ、あ、あつい、痛いっ」

あまりの痛さに脳天が揺れ、変な汗が流れる。
僕が痛みを叫ぶのにこの男はお構い無しに腰をガンガンと僕にぶつけて来る。
受け付けない場所に強引に押し込んだ性器がまるで凶器のように僕の体を引き裂く。
汗とは違う生暖かい液体が僕の足を濡らしている感覚がし、足を見てみると太ももからふくろはぎに掛けて血が流れていた。
足をふいに触るとその血がベットリと掌に付きリドウの行為のおぞましさにぞっとした。

「そんな惚ける暇があるならもう少し楽しませてくれないか」
「ぐあぁぁっ!うっ、はなっ、してっ」
「そうそう君みたいな子を犯すのは本当に楽しい」

腰を掴むリドウの手が僕の性器を掴み爪を立てる。
その痛みに悲鳴をあげるが、その悲鳴すらリドウを興奮させる興奮剤となってしまっているようだ。

「どう、痛い?もっと痛くしようか」
「うっ、お願い、だからっ、も、」
「やめないよ、君の中とっても血だらけで気持ちいいからな」
「ううっ...」

抜き差しされるだけで、内部の傷口に血がしみ込み痛みを増幅させる。
僕にはもう叫ぶ事と泣く事しかできなかった。

「そろそろかな」
「っ、...い、なにっ..」
「だから、君のこの血塗れでぐちゃぐちゃしてる所に精液をぶちこむんだよ」
「!!」
「痛いだろうなぁ、こんなに血ィ出てるからなあ」
「おねがいっ、それだけはっ」
「契約したのは君だよ」
「うぐっ、あぁっ!」

僕の体の中に血よりももっと生温い液体がドクドクと注ぎ込まれる。
そして全てを出すとリドウは僕の腰から手を離し、僕はガラスに支えられながらも床に崩れ落ちた。
ガラスには縦に一直線に血塗れの手形の跡が残った。

「また君のGHSに電話するよ、拒否はしない方がいい。さすがに顔面が精液塗れなのは可哀想だからそこのシャワーを使えよ」
「....」
「じゃあな、あと48回分ある事を忘れるなよ」

その場所からしばらく動く事ができなかった。
そして起ち上がる事が出来る頃にはエレンピオスは夜になっていた。
重い足でシャワールームに入り、シャワーを浴びながら僕はまた泣いた。
排水溝に流れて行く血を見てまた泣いた。
そしてシャワールームから出るとリドウのデスクの上にはマクスウェルの精霊の化石が置いてあった。

「...守ったよ....僕、守ったよ....?」

精霊の化石を見て僕はまた涙を流した。


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