俺の家に血の繋がった他人がやってきた
知力への妬みで友人と散々誹謗中傷してきた学校で一番の優等生

「アルフレド。挨拶を」
「・・アルフレド・ヴィント・スヴェントです」
「ジュード・マティスです・・・」

父さんに連れられてあの優等生はやってきた
こんな事さえ無ければ一生話す事もなかったと思える俺と真逆の人間
それはお互いそう思っていたと思う
印象は互いに最悪だ

「2人共仲良くしなさい。家族なのだから。」

父さんが言う言葉に込み上げるモノがあった
今の俺に"家族"という言葉ほど気持ちの悪いものはない


俺の部屋を出てあいつは俺の隣の部屋の客室だった部屋へ行く
俺の寛げる家は一瞬にして数平方メートルに縮まった

『アルフレド、母さん・・体が弱くて・・・寂しい思いをさせて・・・ごめんね』
『母さんそんな事言わないで!僕母さんの子に産まれてこれて本当に嬉しいんだ!それで十分なんだ!』

余命数ヶ月の、横たわる母親を元気付けようと 自分の思いを精一杯伝えた7才の俺
それが、母さんから産まれてすらない?
父さんと母さんはそんな俺を笑ったのだろうか
あの父さんと母さんがそんな事を思うはず無い!と自問自答を繰り替えす
しかし、突然の出来事はその気持ちすら疑心暗鬼に変えて行く

俺のこの疑心暗鬼による憎しみの矛先はあいつにしか向ける事ができなかった


隣の部屋の物音に耳をすまして、父さんが部屋を出て行ってからあいつの部屋に行く
ノックもせずに部屋に押し入れば、机の上の写真立てが目に入る

「ア・・・アルフレド君・・・何?」
「・・・俺は、お前を家族なんて思ってない。お前なんか嫌いだ。消えてくれよ・・・」
「・・・」

俺の言葉に動揺しているのか、辛そうな顔で立ち尽くす優等生
その仕草全てが俺を苛立たせる

「・・・頼むから、そんな写真なんか飾るなよ!」

何か事情があってこうなったとか、そんな事を考える余裕なんて俺にはなかった
その2人は俺を捨てたのだ
この苛立ちを写真の中で微笑む夫婦にぶつけたいのにぶつける事ができないもどかしさ

「やめてよ!!」

咄嗟に手にした写真立てを床に投げつける
そうすれば、悲しみと怒りが混ざったような表情で俺を睨んだ後、ボロボロの写真立てを拾い上げる

「・・・僕も、・・・家族だなんて思ってない・・・・」

涙を流しながら、俺を再び睨む
その目に苛立ちを感じて部屋の扉を強引に開き、部屋を出る


『白昼メランコリー』


思っている感情は恨みだけ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -