「ねぇ、アルヴィン。疲れてない?」
「別に疲れてねぇよ」
「それならいいんだけど..」
『意地悪な俺と可哀想な少年』
俺の元にひょこっとやってきたジュードは脈略もない問いかけをしてくる。
小さな背中から良い匂いがする、そういえば厨房でジュードが何か作っていたのを思い出した。
「じゃ、じゃあお腹すいてたり..」
「しないな」
そう言うと一瞬凄く哀しそうな顔をした。
そして子供のくせに俺を見上げていつも通りニコっと笑った。
「素直に言えよ、俺に食べて欲しいんだろ。背中のそれ。」
「え...うん、そうだよ」
「空腹以外に男の手料理食う趣味はないんだ。ミラにでもやってくれ。」
「そ、そうだよね..ごめん。」
ジュードは少しずつ俺から後ずさって行ってしまった。
哀しそうな顔、無理に元気そうにしてるのが見え見えだった。
多少自信過剰な俺でも過剰に言わなくても分かるジュードの好意。
一言で言うと重かった。
「アルヴィン酷いやつー!」
「ティポ..!それにエリーゼか」
「ジュード..頑張って作ってました...。酷いです..。」
「エリーゼには分からない大人の事情って奴」
そう言ってやるとエリーゼは剥れてティポは『アルヴィン君の馬鹿』なんて言ってた。
馬鹿?馬鹿なのはあいつの方だろう。俺はそこまでアブノーマルじゃない。
それから宿屋で一泊して次の町へ行く事になった。
そこの途中でいくつかの戦闘があった。
「っ、いてーな」
「アルヴィン今治癒功するから!」
「いいよ、エリーゼ頼む」
「..うん、でも」
「おたくは前線でミラとリンク繋いどけ」
そう言ってリンクを切った。
ジュードは一度振り返ってそのまま前線へと突き進んで行った。
一瞬振り返った時の哀し気な顔が『ぼく、きらい?』とでも言いた気な顔だった。
"少なくとも仕事のツレ程度?"
そう頭で考えた瞬間戦闘中にも関わらずティポに噛み付かれた。こりゃあ、いてーわ。
「ジュード、目から水が出ているぞ」
「はは、そう、だね」
モンスターの気配がなくなった前線からそんな声が聴こえて来た。
10.000Hitリクエスト企画第二弾です。
ろい様リクエストの『アル←ジュでジュードの明らかな好意を回避するアルヴィン』です。
ご希望に添えたでしょうか?健気なジュードを頑張って書いてみたつもりです。
しれーっと拒絶するアルヴィンが難しいですね..!
リクエストありがとうございました!!