長い長い旅の後、旅の途中から想いを通じ合わせる僕らは同棲に踏み切った。
住む場所も働く環境もまったく違う僕らだけれど少しでも側に居れたら、と思ったから。
元々一緒で旅をしてた事もあるし、旅の後だけあって仲睦まじく暮らしている。
問題があるとしたら一回り近く年の離れた僕らの性欲の差、くらいだった。

「アルヴィンって本当に元気だよね、色んな意味で。」
「そうだな、ジュードが好きだから。」
「僕もあと10年したらこうなるのかなあ、でもその頃にはアルヴィン...」
「その変な沈黙はやめてくれよ。」
「何でも無いよ。」

行為後のベッドで素肌にアルヴィンの熱を受け、その箇所だけ妙に火照る身体。
僕の腰に背中から手を回して、香水の香りを感じながら他愛の無い話をするそんな時間。

「たまには違う趣向でやってみたいな」
「..そう言って、制服やら白衣でいろいろやったでしょ?洗濯大変なんだよ?」
「もっと違うのがやってみたいんだよ。」
「物好き。」
「悪かったな。」

その日はそのまま2人で睡眠に至った。
そして昨晩のアルヴィンの発言により、仕事帰りに僕を待っていたの"趣向"をこらした衣装だった。
ソファではやっと帰って来たか、とでも言わんばかりに一人楽しそうなアルヴィン。

「こういう時だけ無駄に行動は早いんだから」
「似合ううちに楽しめるうちに、だろ?」
「....で、何なの?それ。」
「あぁ、ジュードは何も着なくてもいいよ。だって洗濯するの面倒だろ?」
「そうなの?」
「もしかして楽しみにしてたとか?」
「...そんな事ないよ!」
「また今度メイド服でも着せてやるからな」
「...!!もうメイド服は着ないよ!!」
「そうか。なら先にシャワーでも浴びて来いよ。な?」

ご飯を食べながらこんな話をするなんてはしたないと思いつつ夕飯を平らげる。
食べ終わったら食べ終わったでシャワーへ誘導されてしまった。
10年経ったら僕もこういう風になるのだろうか、いやそんな事はないだろう。
物思いにふけ、シャワーを終えるとフォーマルな衣装に身を包んだアルヴィンが待っていた。

「今日はこういくんだね...」
「そういう事。」

所謂、執事とお坊ちゃま。
白手を付けているアルヴィンに催促され側まで寄るとそのまま足の裏に手を回されお姫様抱っこでベッドまで連れて行かれる。
そしてベッドに下ろされると、アルヴィンは手の甲にキスを落とした。

「アルヴィン...?」
「襲っても良いですか、ジュード様?」
「もはやそれ、主従関係成り立ってないよ..アルヴィン」
「細かい事は気にするな。」

アルヴィンは風呂上がりの湿った僕の髪の毛にキスを落として、唇へ首筋へと下へ唇を落として行った。
そして足のつま先にキスをすると、足の裏を指を舐められる。
その行為に何故かゾクゾクと感じるものがあって見とれているとアルヴィンは再度唇にキスを落とした。
そしてまた唇を落として行って僕の性器を銜え、舐められる。

「はっ..あっ...い」
「....」
「ん、あ...ルヴィン...い、ぃよ...」

湛然に舐められる僕の性器。
一糸纏わぬ僕に対して着込んだアルヴィン、それが少し恥ずかしいと思った。
いつもは性急に進めて行く癖に今日は前戯が甚く長い。
そして湛然に舐められ、扱かれた性器は忽ち精を放った。
僕の下半身に顔を埋めるアルヴィンの髪を引っぱれば、アルヴィンは察したように膝裏に手をかけ今度は後穴を舐め始めた。
その行為にも非情に羞恥心を感じてしまう。

「っ、きたな...いよ...っ...」
「綺麗ですよ」
「ア、ル、ヴィン...んっ...!」
「さっきイったのに、もうこんなに大きくなって。」
「あぁっ、に、ぎらないでっ...あっ...」

漏れる声にさえ羞恥心を感じて無意識に指を噛み、唾液が漏れベッドへと落ちる。
こんなにも前戯を尽くされたのはそんなにないから、酷く興奮して体が火照る。
そんな僕を見て、アルヴィンは僕の口から指を取り出して顎を伝う唾液を舌で絡めとる。

「あ、る、...ん、前戯なが..いっ..も...」
「じゃあ、命令してくれますか?」
「へっ...?」
「主人の命令がないと、執事は動けませんので。」
「そ、んなっ...ず、るい..よっ」
「じゃあ、ずっとこのままです。」
「....アルヴィン...」
「なんでしょうか?ジュード様。」
「...アルヴィンのが...欲しい、僕の、中に...入れて...気持ちよくして...」
「畏まりました。」

今日一番、恥ずかしかったと思う。
何故、僕が、主の方がこんなにも懇願しなくてはいけないのだろうか。
本当に、アルヴィンってずるい...
そう羞恥心と恨みと悦楽が混ざった表情をしていると、アルヴィンは僕の脚を持ち上げ『入れますよ』と言って僕の中に挿入した。

「はっ..あっ、きも、ちい...よ...アルヴィ...ンあっ!」
「私も気持ちいいですよ、..ホントに...っ」
「アルヴィンっ、もっと、奥がいいのっ...!!あっ、そっ、こすってっあっ」
「...っ、ここか...?っ、か、締め付け...すごいな..」
「ひゃっああっ!!あ、...イっちゃ...あ、も、止めてよっああぁ!!」
「俺はまだイってないから、付き合ってくれよ。な?」
「んあぁっ、も、む、りっだからっ...!!!あぁぁっや!!」

その後、アルヴィンが果てるまで行為は続けられた。
何度も吐精した体は泥のようにベッドに沈む。
アルヴィンは満足したように、泥のような僕の髪の毛を弄んでいる。

「....も、無理....」
「もう終わりだって、ジュード」
「っていうか....途中かアルヴィン、元に戻ってるし」
「だって、なんか今日のジュードくん可愛かったんだよ」
「...アルヴィンの馬鹿!」
「俺かよ!俺なんかしたか?」
「したっ。」
「そんなに剥れるなよ、あんまり眉間に皺寄らすとよくないぞ」

そう言ってアルヴィンは拗ねている僕の頭を撫でて笑う。
たとえ10年経ったとしても僕はアルヴィンみたくは慣れそうにはないなと改めて思う。
でも、もしベッド上でアルヴィンより優勢に立てるようになったら仕返しを沢山しようと思った。
はたして、そんな日が来るのかわからないけれど。


『日常と非日常の境目』


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Thanks//夜風にまたがるニルバーナ

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