レイアが悪女になって、ジュード君を強姦している描写があります。苦手な方は閲覧を避けて下さい。

ああ、神様。私はどうやら悪い女みたいです。
愛しくて守りたかった笑顔がどうしても憎くて憎くてたまりません。


『わたし壊れたのかな』


ジュードの事が好きだった、大好きだった。
けれど、ジュードの事を儚く見つめる彼が大好きになった。
ミラに突き出した彼への思いは燃やしてしまいたくなった。
この循環に愛は産まれない。
彼はミラが好きだから。
あの人はジュードが好きだから。
私はアルヴィンが好きだから。
何一つここには愛はない。
あるとしたら、あの人に思われる彼への憎しみだけ。
なんて惨めな恋なのだろうか。

「俺さ、ジュードが好きなんだ。あんな事をした俺がジュードに許されるなんて思えない。それにレイアにも。」
「わ、私はもうアルヴィンの事そんな風に...!」
「ありがとうレイア。でも俺はジュードを側で見守ってるだけでいいんだ」
「アルヴィンは自分の幸せとか考えないの?!」
「あれだけの罪を犯した俺に訪れる幸せなんてこの世界にはない。」

ジュードを見守っているだけで幸せなんだ、と笑うこの男。
私に何一つも思ってないこの男。この男が私に向けるのは罪悪感だけだった。
罪悪感が積もりに積もって私を視界にさえ入れようとはしてくれない。
彼に撃たれた傷跡が酷く痛むようだ。

「花嫁修業、頑張るんだろ?なら、こんな所で油売ってないで頑張れよ」

そう彼は言って去っていった。
私は貴方の花嫁になりたいのに、そう願った思いはエレンピオスのどんよりとした空に消えた。
彼にこんなにも思われるジュードが羨ましくて憎いとすら思った。
あんなのにも恋していたのに。
綺麗な気持ちでいたのに、全てを狂わしたのは誰なんですか。

「うん..!頑張るよ、私。それじゃあ、アルヴィン。」
「あぁ、気をつけろよ。」

そう言う彼が想うのはジュードだけ。
ジュードが彼と私を狂わしたんだね、全部ジュードが狂わしたの。
なら、もっと狂わしてみたいんだ。
二人の気持ちを全部奪いたいんだ。

決心が着いた頃には、罪の意識なんてなかった。
元看護士見習いで見知った知識で手に入れた睡眠薬。
あたたかいコーヒーに一匙落として掻き混ぜる。

「ジュード、ほらたまには休憩しなきゃ。コーヒー入れたから少し休みなよ」
「ありがとう、レイア。.....?」
「どうしたの?ジュード。あ、もしかして色が薄い!とか難癖つけるの?」
「違うよ、ありがとう....レイア。....ごめん、僕...」

ジュードは座っていた椅子から体制を崩し冷たいタイルに横たわった。
私はジュードをベッドまで運び出す、まるで死体でも運ぶような感覚だった。

「ねえ、ジュード。大好きだったよ、だけど憎いの」
「アルヴィンの事が好きになったの、だけどジュードの事が愛しいと言うの」
「私はジュードに何一つ勝てないの、もう」
「だけどね、私気づいたの。たったひとつだけあるって。」

ジュードの白衣に手をかけ、ボタンを一つ一つ外していく。
そのまま服をたくし上げ白い胸元をなぞる。

「本当はアルヴィンとこうしたかった、だけど彼とこうする事はないと思うの」
「用心深いし、きっと私が手に入れれる薬では眠らす事はできないと思うの」
「それに、できたとしても私の求めるものじゃないと思う」

ズボンに手をかけ、露出された性器をやんわりと握るとジュードは眠りの中で短く呻いた。
肋骨に唇を落としてペロリと舐めると彼はまた少し呻く。

「なら、ジュードをこうしようと思ったの」
「そうすれば、アルヴィンは嫌でも私を視界に入れてくれるよね」
「だから、その為に犠牲になってくれるよね。私の為に。...大好きだったよ...前は..ね..」

睡眠中でも性器を触る事によって若干起ち上がって来た事を確認する。
私は衣類をベッド付近に脱ぎ落としてジュードの上に股がりゆっくりと腰を落とす。

「...憎いよ、...っ...ジュードの所為で何一つ振り向いてくれやしない」
「だから、だから..っ、アルヴィンの想いもジュードの想いすらも全部私が奪うの...!」

ジュードの両腕を掴んで腰を動かしていると、ジュードの短い呻きが続く。
そして睫毛がピクピクと動き、あの人と同じ色の瞳がかすかに覗く。
ジュードが起きるのを感じて、両腕を掴む力を強める。

「れ...レイ...ア.....?」
「おはよう、ジュード。でも、もう遅いの。」
「レイア?!な、なに!?やっやめてよ..!!!レイア!!!」
「なんか私がジュードを強姦してるみたいに見えるね。..そうだけどね。」
「レイア!!冗談でしょ?!ね、..レイア..!!」
「私は冗談でこんな事はしないよ、ジュード」

やっぱり抵抗しようとするジュードの両腕を押さえておいて良かったと思った。
お母さんの訓練のお陰で何処を押さえれば筋肉が使えないなんて事くらい覚えてる。
為す術も無く、女みたいに泣きわめくジュードが憎かった。
ジュードの気持ちなんかおかまい無し行為は続けた。

「レイ..ア..っ、やめ...よ..っ...」
「やっぱり...ジュードには..叶わないなあ、なんでそんなに...綺麗なの?」
「あっ、おねがっ..だから...」
「でも綺麗じゃなかったら...、こんな事考えつかなかったっ...」
「レイア!!!もう、っ、お願いだから...!!退いてっ..!!!あっ!」

子宮に流れ込む生暖かい液体の感触。
赤い頬をなぞれば、口からは荒い息を覗かせる。その顔はすぐに青く変わる。

「レ...イ...ア...?なんで....こんな事.....」
「ジュードは綺麗だから、捨てれないよね?」
「レイア..?嘘でしょ、嘘だよね?嘘だって言ってよ!」
「認知、してくれるよね?」

そこから私とジュードは坂を転がり落ちるように事態が進んでいった。
私の思惑通り、子供がお腹の中に宿った。
目に隈を作っているジュードが研究所のデスクに向かっている。

「レイアは、僕の事好きでもなんでもないんでしょう。」
「うん、むしろ憎んでいるよ。でも恋していた。」
「じゃあ、なんでこんな事になったんだろうね。」
「それはね、全てを狂わして奪いたかったから。かな。」
「誰に似たんだろうね。」
「もっと苦しんだり悲しんだりするかと思ったのに。」
「子供には罪はないから。それに僕の想う人にはもう届かない。」
「そうだね。」

そんな、狂気的台詞を吐きながらも会話は続く。
それでもジュードは綺麗に笑うの。
全てを見透かしてるよ、そんな表情で。


しばらくして私はアルヴィンと出会った。
ジュードの居る研究所に行く途中だった、彼もまたそうなのだろう。
文字通り影から見守り永遠とジュードをサポートするのだろう。
そのアルヴィンが見つめるのは私のお腹。

「レイア?」
「アルヴィン、久しぶりだね。うんと、どう説明していいかわかんないけど。」
「ジュード、か。」
「..うん、そうだよ?」
「良かったな、おめでとう。レイア。」

そう言うアルヴィンは私を視界に入れて、私を見てそう言った。
そしてアルヴィンは研究所に向かわずエレンピオスに向かう海停の方向へ向かっていった。
私はアルヴィンのジュードへの想いを奪った。
ジュードのミラへの想いも奪った。
全てを奪ってしまいたかったから奪った。

満足するはずだったのに、こんなにも哀しい。
狂わせるはずなのに、私だけ狂ってたみたい。


ああ、神様。私はどうやら悪い女みたいです。


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Thanks//確かに恋だった

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