「お前は結局、自分を導いてくれるのなら誰でもいいんだろ?」
「...!」
「浅ましな。」


『冷えた瞳』


僕がなんで、こんな状況に陥っているのか。
僕がなんて、アルヴィンにこんな事を言われる筋合いがあるのか。
今になってみても、理解はできない。

カラハ・シャールに到着して僕らはクレインさんやドロッセル、ローエンと出会った。
ガンダラ要塞に居る内偵とのやりとりに時間を要しカラハ・シャールの滞在時間が思ったより伸びてしまった。
ただ、待つのは大変だろうと領主のクレインさんが時折街を案内してくれる毎日。
2人での時間が長くなるうちに、自然と想い合ってしまった僕とクレインさん。
夜、密かに呼び出され逢瀬を重ねた時は壊れ物のように優しく抱いてくれた。

それから数日が経って、街の人が連れ去られクレインさんがそれを追っていったしまった。
また、それを追うように僕らも街を出て彼等を救出をする。
そして彼等を連れて帰ったがいいが疲労を重ね、彼はベッドの中で眠っている。

「なんだよ、浮かねえ顔して。」
「..こんな時に、喜べる訳ないよ。街の皆も、クレインさんも..もう少しで死ぬ所だった。」
「そんなにベッドで眠ってる領主様が心配か?優等生。」
「...」
「それとも、毎晩のように重ねた体が疼いて仕方ないってか?」
「?!」

この男はそう言って、僕を嘲笑うように見下ろした。
ましてやこの状況を楽しんでいるかのようなこの男に苛立ちさえ覚える。

「...よく、こんな時にそんな事言えるね。」
「そうカリカリすんなよ、俺は心配で眠れないおたくを思ってここにいるのに。」
「別に僕はアルヴィンに側に居て欲しいなんて頼んでない。」
「可愛くねーな、優等生。」

彼は、ベッドに居る僕に一歩ずつ近づいて僕の肩を押し柔らかなシーツに僕を押し付けた。
僕は彼を睨む、それすらも彼は嘲笑う。

「俺がしばらく手出さないうちに随分股が緩くなったもんだな。」
「...アルヴィンにそんな事言われたくない。...アルヴィンが、嘘を吐くから。」
「だから俺じゃなくていかにも優しそうな領主様に縋ったってか。」
「...」

冷め切った目で見つめ合う、僕とアルヴィン。
イラート海停、ハ・ミル、二・アケリアと後悔ばかりする僕を慰める彼に心も体も許してしまった頃が随分昔に感じる。
カラハ・シャールに辿り着いて、彼に売られたと思って怖くなって距離を置いた。
そんな僕をクレインさんは...。

「おたくは自分に都合が良くて、優しくしてくれる奴なら誰でもいいんだろ。」
「...なんで、そんな事言うの、アルヴィン。」
「ただ、お前のそういう所にイライラするんだよ」

彼は低い声でそう言い放つと、片手で器用に僕の衣類を脱がし始めた。
もう彼に彼を暴かれたくはなかった、ただ抵抗する気にもなれなかった。

「何、溜まってて逆に嬉しいとか?お前の性癖どうなってんだよ」
「強姦しようとしてる人にそんな事言えるの?...アルヴィン」
「可愛くねーな」
「...!?あ、ア..ああ"!!」
「あ、何?どうせ緩んでるから痛くねーだろ?」
「った、い、たい!や、め..痛っ..い」
「毎晩毎晩ヤってただろ?これぐらい平気だろ?それとも、領主様はもっと優しかったって?」

アルヴィンは僕の服を脱がすと、すぐ容赦なく性器を僕の後穴に捻り込もうと押し付けて来た。
脳天が熱くて、体を壊してしまいな痛みに涙さえこみ上げる。

「うあああああ"!!、うっ、いっ、あっ」
「痛い?なら良かった。」
「さっ、ア、ルヴィン、っ!!さい..てっい..!!」
「だって痛くないとまるで愛があるみたいで気持ち悪いだろ」
「あ"、あ"!!!!!」

アルヴィンはただ、痛みしか僕に与えなかった。
僕が叫んだり、鳴いたりすると満足そうに笑う。

「お前は結局、自分を導いてくれるのなら誰でもいいんだろ?」
「...!」
「浅ましな。」
「っ、ア、ル、ヴィンに...っああ、言われた..くなっ!」
「別にいいだろ?要するに俺がお前にとって都合悪いから乗り捨てたんだろ?」
「っ、あ"、―っ、たっ」

汗で張り付く髪の毛をアルヴィンは掴み、無理矢理に体を起こさせる。
目が虚ろな僕をアルヴィンは蔑むように見る。

「もしクレインが死んだら、裏切られたらお前はどうする?」
「っ..はっ......」
「そしたらまた誰かに乗り換えるのか?自分に都合の良い奴に。それとも俺の下でまた悦んで腰振るのか?」
「......っ...」
「イライラするんだよ、お前見てると。」

僕の髪の毛を離し、ベッドの上に僕の体を落とす。
呼吸が荒く、目が虚ろで焦点すらも合わない僕を見てつまらない、とでも言いた気な表情をすると僕の後穴から性器を抜き、部屋を後にした。

次の日、目覚めたクレインさんは僕の目の前で死んだ。
僕は、気がついたらアルヴィンの部屋をノックしていた。

アルヴィンは嗤った。


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Thanks//確かに恋だった

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