目が覚めたら、視界は真っ暗だった。
自分は宿のベッドで寝ていたはずなのに、と考える。
僅かな恐怖にかられながらも身を起こしてみようとするけれど体は言う事をきかない。

身を起こす際に、感じた下半身への違和感。
機械音が聞こえて来た。
僕の中に入っている、中で何かが暴れている、危機感を抱く前に体は火照り出していた。

「っふっ、く..あっ」

体を僅かに反らせる度に中の物体は動き、中を容赦なく抉る。
こんなものを入れられても僕は目を覚まさなかったなんてどうかしてる、と泣きたくもなる。

「そんなに、泣くなよ?楽しくないのか?」

耳元でそんな声が聞こえた。
僕の痴態を見られたと思い、紅潮する頬を掌で撫でられる。

「っ、だれっ...!?」
「ーん、誰って言われてもなあ。おたくがよく知ってるけど、よく知らない奴だと思ってくれよ。」
「ひっやっ、なかっが、」
「中がなに?気持ち良いからもっと擦ってって?」

その指は僕の後穴から中途半端に出ている玩具を握り側面を擦るように抜き差しを繰り返す。
それに翻弄されるように短い吐息は喘ぎ声に変わり部屋を満たしている。

「本当に誰かわかんねーのか?」
「わか、らないっよ、やめっ..」

こんな事をする人物に心当たりはあった。
でもその人物は僕らの前から姿を消してしまっていたし、
そもそも、この人の声に心当たりが無いのだ。そんな、機械音の声なんか。

「なら別にいいけどな、ほら、鳴くならもっといい声で鳴いて貰わないとな」
「やっあっ、擦らないっ、、でっあ..」
「あ、これ気持ちいいんだ。」
「も、やっ、だから、っあ!」
「別にイってもいいんだぜ?どうせ、"今"は録にヤってないから溜まってるんだろ」
「ああっ」

僕の前から消えた彼が、擦る事は無かった所を存分に擦られ善がるように達してしまった。
息を切らしてシーツを掻き乱す足をその人物は掴み、玩具を引っこ抜いて容赦なくそれより質量の多い物を突き入れた。

「ひゃっ!!あ、っ、も、やだっ、ううっ」
「ほら、そう言って凄くイイんだろ?ここ、もう起ってるぜ?」
「ヤっ、ちがっ、」
「いつも触って貰えないんだろ?ここが気持ちいいんじゃねーのか?」
「やあっ、やっ、」

まるで、僕の事なんかお見通しのようにその人物は言う。
そうだ、彼は自分の性欲だけ満たせばそれで終わりで僕の事なんか二の次なんだ。
それでもいい、なんて思っていたのだけれど。

「ほら、いいんだろ?なら素直に言えよ」
「っひっ..あっ...!!」
「ここ、気持ちいいんだろ?」
「あああっ!、そ、こ、いい、っあっ!」
「別にお前を置いてどっか行った奴に抱かれてるとでも思ってもいいんだぜ?」
「っあっ、んあっ、ア、アル..ヴィン...!」

そう言って、僕は二度目の熱を放つと同時にベッドに倒れ込んだ。
一体、この人は誰なのだろうか、朦朧と眠りに誘われる意識の中パレンジの香りがした気がした。



『っあっ、んあっ、ア、アル..ヴィン...!』

そう、GHSから流れる僕の声を聞いた。
目の前の人物に怒りが募り、ついクローゼットの中から武器を出そうと思ったがあまりの痴態故に固まらずにもいれない。

「アルヴィン、これ、どういう事?」
「だから、時間旅行ついでに淋しいジュード君の元に行って来たんだよ」
「本当、アルヴィンって最低だよね。」
「そんなに怒るなって、つい可愛い顔で寝てるからさ。」

悪態をつき、GHSから流れる過去の僕の声を楽しんでいるアルヴィン。
それを見て溜息を吐く、僕。
それでも、GHSからの録音音声を楽しむアルヴィン。

「そう溜息吐くなって、もしかして浮気!とかで怒ってるのか?」
「違うよ、アルヴィンとの今後の付き合い方について考え直してるんだよ。」


『Where’re you from?』

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