「俺、独り占めにするのは大好きっス。だからこうやって平気で黒子っちを監禁したりできるんスよ。」
「―――」
「あぁ、声が出せない?だって黒子っちそれ取ると否定ばっかしかしないっスよね?」
「―――!」
「でも安心していいっスよ。否定ばかりしても黒子っちは俺の事大好きなのは分かってるっスから!」
「―――・・・」

彼には、黄瀬君には僕の声は届かない。
口に当てがわれた猿轡のせいもあるけれど、それ以前に彼は僕の言う事を聞かない。
彼は僕の事をどういう風に思ってるのかなんて今となっては考えたくもないけれど、
彼の中の僕はきっと、彼にとっての愛しい玩具。
頭に、腕に、足に、指先に、長い長い糸を繋げた愛しい玩具。

「黒子っちの肌、白くて綺麗っスね。腕も少し力入れたら折れちゃいそうっス。」
「――っ」
「透き通る髪も、綺麗な目の色も大好きっス。...これが消えたらもっと好きになるっスけどね。」

そう言って、彼は僕の首筋に噛み付いた。
それが痛くて、小さく呻くがそれが彼に届く事はない。
僕がどれだけ苦しんだ所で玩具の苦痛など彼は知る由もない。

「黒子っち、なんで泣いてるんスか?」
「―」
「俺にここまで愛されて嬉しいんスよね?大丈夫っすよ、俺モテるけど黒子っちしか好きじゃないっスから」

僕の顔を引き寄せて、涙を飲み込まれる。
僕に出来る唯一の感情表現すらも、彼は飲み込み、都合良く解釈する。
きっと、何日経ってもこの連鎖を経たれる事はなくただ、僕は黄瀬君のお人形。
恥じらうように僕の首筋にキスマークを付けたあの人が懐かしく思える。


『黒子っち!』
『また、ここまで来たんですか?学校遠いのに、無理しなくていいですよ』
『冷たいっスよ、黒子っち!一番の親友なのに!』
『そうですね、で今日は何しに来たんですか?』
『久しぶりに黒子っちの家に行きたいっス!..........なんすか、コレ?』
『??どうしました、黄瀬君』
『..なんでもないっスよ。やっぱり、今日は俺の家に来て欲しいっス!』

本来なら、あの時、黄瀬君の様子がおかしい時に気づくべきだと今でも思う。
彼が僕の、首筋を見ている目が普通じゃないと気づいた時に。
黄瀬君の家に着くまでは僕は何一つ気づかなかった、少し前を歩く彼がどんな顔をしていたか。
家に一歩踏み入れれば、僕は玩具のように床に転がった。

『っ、黄瀬君...何するんですか?!』
『こんな事になるなら、強引にでも俺の所に連れて行くべきだったっス..』
『き、せ、く..痛っ、や、やめてくださ』
『俺が、俺が、俺が黒子っちから目を離すからこんな事に』
『離し、てくださいっ、触らな』
『っ』

僕が抵抗して、その手が黄瀬君の顔に当たり彼は無言で僕の腕を掴み床に落とした。
無言で見つめてくる彼の顔は、僕の知らない男の顔。

『痛いっスよ、黒子っち』
『やめてください、黄瀬君..!今なら、僕も、忘れますから!』
『忘れる?ふざけた事を言うのは辞めてくれないっスか』
『っ痛』
『..黒子っちは俺の物っす、誰にも、他の四人にも、渡さない』

僕が黄瀬君に見つめられて怯んだ、その瞬間に僕の衣服は本来の役目を失いだらし無く僕の腕と膝に絡んだ。
強引に足の間に入られ、萎えている自身を痛い程握られる。
僕が僅かに呻けば彼は嘲笑って長い指を後孔目掛けて移動させる。

『や..めて、くださ..い...こ、怖い..で...嫌..で、す』
『..』
『ひっ、痛っ、うっ..』
『もっとかわいらしい声で鳴けないんスか?さっきっから否定ばっかりっスよ』
『黄..瀬君なんて、...嫌い..です、大嫌い..です..』
『何言ってるんスか?』
『ああ”!』

僕は彼を本当に怒らしてしまったようで、指を容赦なく何本か突き入れられ
片手に掴まれている僕自身を握りしめ、悲鳴があがる。
僕がどんなに叫ぼうと、彼はそれを辞めたりなどしてくれはしない。

『嘘、スよね?黒子っちは俺の事大好きっスよね?』
『...きら、ああああ"、痛っやっ、あ"』
『ねえ、黒子っち。黒子っちはお利口だからわかるっスよね?』
『ああ"...いた、い』
『ねえ?』
『ぅっ、、す、き、です..す、きです、から』
『やっぱり黒子っちはお利口っスね!じゃあ、ご褒美あげないといけないっスよね!』

そう言って彼は僕の性器から手を離すと、ズボンをずらし僕の膝を持ち上げた。
その後待っているのはご褒美でもなんでもなく、ただの痛み。苦痛。
僕は悲鳴をあげたけど、彼には届く訳もなくただ嬉しそうに僕の中の異物を大きくさせた。

『く、ろこっち、好きっす、誰にも渡さない..っス..』
『..っ、た、い』
『だか、ら、黒子っちも、俺の事、好きっ、すよね?』

そう言う彼の手は僕の首を掴んでいた。
僕の台詞は、もう彼が用意してくれているみたいです。

『ねえ、黒子、っち..っ?』
『....ハ、イ...、好きです...黄瀬く..ん..』


あの日から僕は家にも学校にも帰れず、黄瀬君の家に居る。
僕が逃げるからと、手枷と足枷を付け。
僕が否定するからと、猿轡を付け。
僕が気持ち良さそうじゃないと、薬を盛り。
ほら、僕は黄瀬君の玩具でしょう。

「黒子っち、大好きっス!」
「――」
「言わなくてもわかるっスよ、黒子っちも俺の事好きっスもんね」
「」
「黒子っち、黒子っち、好きっス」

そう言って、彼は僕を抱きしめた。
そして何度も何度も、「好き」と僕の耳元で囁いた。
何回も、何回も、日が昇り、日が落ち、また日が昇っても囁き続けた。
どこでまで続くのでしょうか、それは誰にもわからない。

ところで、僕の首筋にキスマークを付けたのは誰だったんでしょうか。
思い出の中の彼の顔が眩し過ぎて、何一つ思い出せません。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -