SS two



「あ、貴方は僕のおばあさんじゃ...ないですよね」
「何言ってるんだよ、可愛い赤ずきんのおばあさんだ」
「だ、って」

母さんに言われていた、森で道草なんかしてはいけません。と。
僕が森の道を進んでいるととある狼に「あそこの泉で怪我をしている奴がいる」なんて言われて、ほっておけなくて行ってしまった。
狼の傷口が獣に噛まれた痕だったという事と、今の現状、騙されたのだ。

「やめて、ください」

頭にすっぽりと被った赤い頭巾がおばあさんの姿の何かによって暖炉に投げ込まれる。
もう、僕は食べられてしまうのだろうか。

「俺はお前のおばあさんだぞ」

母さんに買って貰った絹の洋服に手をかけられてしまう。
もう、僕は食べられてしまう。
諦めかけた時に部屋の隅にあるおばあさんの物ではない拳銃に目が着いた。

「ごめんなさい、、」




「アルヴィン、僕たち、また捨てられちゃったね」
「今度の"最後"の食料、毒の匂いがかすかにするな」
「食べたら死んじゃうね」
「そうだな」

実の母親に捨てられるのはこれが初めてじゃない。
捨てられても僕とアルヴィンが家に戻って来る事を狂気のような表情で迎えられるのも初めてじゃない。

「ぼくたち、捨てられたのかい?」

優し気なおばあさんが捨てられた僕たちに気づいて話しかけて来た。
そのおばあさんは自分の家に連れて来てくれて、その家には僕ら以外の子供達も居た。

「なんか、ここ居づらいね」
「居づらいな」
「いつもみたいに、僕らだけにしようか」
「あぁ、そうしよう」

アルヴィンがおばあさんを暖炉に突き入れて
その隣の部屋で僕は善人ぶって、お腹をすかせた子供達に僕らのお母さんが僕らの為に作ってくれたパンを差し出す。

「やっぱり、2人はいいよね」
「誰も俺たちを傷つけないからな」
「じゃあ、こうしたら、何処でも僕らの居場所が出来るね」
「そうだな。じゃあ住み慣れたあの家も俺らの居場所にするか」
「うん」

"キャー"

僕らを生んで捨てた、あの人の悲鳴が聴こえた。




「おい、―。」
「何、アル。」
「俺が居ない間にあの部屋に入るなよ」
「えぇ」

彼の前妻は、彼との言いつけを守らずあの部屋を覗いてしまった。
そして帰って来たアルヴィンに問いつめられ見てないと言うが証拠があったので殺されてしまった。

「おい、ジュード」
「何、アルヴィン。」
「俺が居ない間にあの部屋に入るなよ」
「うん」

僕はその部屋を覗いてしまった。
その部屋の中には沢山の女性の死体が隠されていた。
その中で一番腐食具合から殺されて間もないのが彼の前妻だった。
僕は状況を察して証拠なんてないようにして部屋を去る。

「いい子にしてたか」
「うん」
「お前は本当に優等生だな」
「そうだよ」

そう、ニコリと綺麗に笑えばアルヴィンは僕の頭を撫でた。
さあ、彼が眠りの世界に入ったらここから逃げよう。




「お前らは、私を騙したな」
「騙したなんて人聞き悪いな」

この街に笛吹き男がやってきて、街の鼠を全て退治すると言った。
この街は鼠によって苦しめられていた、食料を食われ作物さえ食われる。
しまいには養子として育てているジュードも怯えてるから困った物だった。

「どうなってもしらんぞ」
「...報酬は払う、そのうちな」

その次の朝だった。
街の子供が盲目な少女と足の不自由な少年を残して居なくなってしまった事だ。
ジュードすら居なくなってしまったのだ。
なんとか追跡して着いた場所は外側からは決して開ける事のできない洞窟。

「ジュード、ジュード..!そこにいるのか?!」
「アルヴィンの嘘つき。裏切り者。」

何度と声を掛けたが、二度とその扉が開く事も声が帰って来る事はなかった。




「歌、上手いんだな」
「聞いてたんだ」
「これから毎晩来るから、俺が来たらその綺麗な髪で引っ張り上げてくれ」
「うん」

そう言って、彼は高い高い棟から去って行った。
そして彼は言った通り毎晩毎晩、僕の髪の毛を伝って棟の上まで会いに来た。

「ア..ル、ヴィン」
「ジュード、好きだ...。結婚しよう」
「でも、、っ!」

そうして彼は飽きずに毎晩毎晩僕に会いに来ては体を火照らせた。
それから日が経って、魔女-ゴテルおばさんが会いに来た。

「ねぇ、おばあさん。」
「なんだい。」
「僕の服、なんかキツいんだけど、なんでかな..?」




「もう、このパンひとつだけになっちゃった」

父さんも母さんも死んじゃって、食べるものも着るものもなくて
手元にあるのは優しそうな人が哀れんでくれたパンだけ。

「あーお腹減った...」

とある日、歩いていればお腹を空かせた男の子が一人。
服もボロボロで、窶れてて、もう死んでしまいそうな男の子。

「お腹減ったの?」
「...うん」
「食べていいよ」
「いいの?」

その男の子は急いでそのパンを食べた。
あまりに急いで食べるあまりお腹痛いと言い出してしまった。

「お腹冷えちゃったからかな」
「僕の服、あげるよ」
「ありがとう」

僕の残りの食料と服さえ全て彼に渡してしまった。
それでも、どこか不満足な表情の男の子。

「どうしたの?」
「...」
「心が寂しいの?」
「...うん」
「僕が一緒に居てあげるよ」
「..!」

そう言って彼はとても喜びに満ちた表情をしたんだ。
そして"ありがとう"と僕に呟いた。
彼の満ちた表情と共に空から星が降って来た。

「僕の名前はアルフレド。」
「アル、フレドくん?」
「今の僕じゃ君を幸せにする事ができないけど、次生まれ変わったら絶対"ジュード"を幸せにするよ」

僕の名前を知らないはずの小さい子供の"アルフレド"はそう言って消えてしまった。
そうして、幾世が過ぎてあの日がやってくる。

『軍はお固いねぇ。女と子供相手に大人げないったら。』




20111106~20120705

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