「う...あ、れ...こ、こは.....」

薄らと目を開けるも、目が霞んで周りが見通す事ができない。
仰向けの状態が辛くて寝返りをしようと思っても体は動かない。
そもそも、僕は何故ここに居るんだ。
世精ノ途に居て、そこで皆とバラバラになって、皆でガイアスの所に...
く、ろかみの男の人... そう。そこで僕の記憶が途絶えているのだ。

「お目覚めかい。ジュード君。」
「あ、貴方は...」
「そんな不安そうな顔はしなくていいよ」
「し、つもんに...」

漸くクリアになった視界から見えるのは"黒髪の男性"の姿。
彼は手元にある本を見ている、僕はその本から、彼の掌から無数の刃を見た。

「大丈夫だよ、君たちの世界は一つになる。その変わり"彼女"はいなくなるけど」
「..何を、知っているんですか...」
「君たちの歴史、未来。僕にとっては過去。それだけだよ。」
「...なら、僕を世精ノ途に戻して下さい..!僕はそこで!」
「君一人いなくなった所で未来は変わらないよ。変わるのは君の未来、だけ。」
「ぼ、僕...源霊匣を...世界に...」
「君が居なくたっていいだろ、それにあの世界には頭の冴える科学者がいるんだろう」
「あ、貴方は何を知って..!」

僕は、ミラが居なくなる事はなんとなくわかっていた。
だからこそ、最期まで人間の彼女と共にありたかったのに...何で僕はこんな所に。
源霊匣だって、もっと勉強して、多くの人に理解をして貰わないといけないのに。

「君はとっても素敵な素材なんだろう。」
「そ、そざい....?!」
「壁を隔てる2つの世界のハーフ。ハーフは時に世界に混沌を巻き起こす。どの世界で、どの時間でもそうだろう。」
「違う!僕は!」
「君の違いは目には見えない、だからだろう。でも僕はそんな事はどうでもいいんだ。君が知りたい。」
「..貴方は僕たちの歴史を知ってるといいましたよね..」
「そう、知っているよ。君の歴史はもうすぐ終わってしまうんだよ。あの世界で初めて産まれたハーフという威名を持つ君の歴史は。」

掌に水晶がついている方の手で僕の頬をその手はなぞって来る。
僕たちの体にはない得体も知れない"それ"を避けるように身を攀じれば彼は嗤う。

「怯えないでよ。僕は君を救ってあげたんだよ。」
「どういう事ですか..」
「まだわからないのかい?君は、世界が一つになった後しばらくして死ぬんだ。」
「?!」
「アルフレド・ヴィント・スヴェント。彼を守って。」
「ど、ういう、事ですか..?!」

僕がそう言うと、彼は黒い笑みを浮かべて僕の側から離れた。
『君ともっと話していたいけれど、僕も学生だからね。また後で。』
そう言い残して彼は去った。

追いかける事もなにもできない僕は、この薄暗い部屋で悩み続けるはめになった。
「アルフレド・ヴィント・スヴェント。彼を守って。」
「アルフレド・ヴィント・スヴェント。彼を守って。」
黒髪の男の言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。

「.....アルヴィン....、守る....守らなければ、...死ぬ...?.....!」

『彼の者、隔てられた世界を一つにしたのち、アルフレド・ヴィント・スヴェントを狙撃手から庇い死亡。故人が研究を行っていた源霊匣は退化した世界の住人であったバランへと引き継がれた。』

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