「くすくす。」
「えーそうなの。」
「あんなに真面目そうなのに。」
「気持ち悪い。」
「でもあれって同意な訳?」
「そうだろ。だってそんな事件があれば大事件になってるだろ。」

耳をざわめかせる言葉が廊下の隅から隅へと聴こえる。
そして、その会話の最期は必ずこう。

「あの、ジュード・マティスが、ね。」


『Fake tolerance 6』


医学校に踏み入れる。ここまでは普段通りの日常。
入れば、試験結果告知でもないのに掲示板の人の群。
その群に一歩、一歩近づいてその群が僕の存在に気づくとその群は僕に軽蔑の念を放って消える。

「..............え..」

そこには僕の家に投函された僕の不埒な姿。
消したい記憶が僕の脳裏を駆け巡るのと同時に周りの軽蔑の眼差しに目眩さえする。

「ち、が、、ぼ、、く、、じゃ」

たどたどしい言葉を紡ぐもそれは伝わる訳もない。
それどころか、群は僕から一歩一歩遠ざかり口々に言い放つ。

『汚い』
『気持ち悪い』

僕が恐れる言葉を群は次々と僕に浴びせる。
生々しい強姦の記憶と今の僕に降り掛かる言葉は僕を容赦なく苦しめる。

「あ、あ、ち、が、、、」

僕は写真を破り、医学校を飛び出した。
群は僕を嘲笑い、僕が遠くまで出ても耳元で僕を笑っているようだった。

「どうして、どうして..ぼ、ぼくが、、こんな事に、、」

泣きわめきたい衝動を堪えて、無我夢中に医学校から離れる。
耳にこびり付くあの笑い声が消える訳もないのに。

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