キャラクターが死ぬ描写がある長編となりますので苦手な方は注意して下さい。
この世界にはまだもう一つ扉があったのか...!
あの世界に行ったのはそこに必要なものがあったから。
この国の為に、僕達の為に"あれ"を持ち帰る必要があったからだ。
パラパラと黴臭い本を捲る。
この世界に扉は幾らか存在したとしてもその扉の出口は3つだけだったはず。
もっとも僕に出入りを許されたのは今は"無垢なる絆"の世界だけだが。
「見つけた。....しかし、これは」
『隔てられた2つの世界、精霊と人間が共存する世界、精霊が消える世界。
2つの世界を隔てていた物が危機を迎える時、精霊の主と―』
「破られてて読めないじゃないか。でも、これぐらいなら問題ないか。」
「...ふうん、面白そうじゃないか」
扉に近づくと空間が歪み出した。
さすがに刑罰物かとも思うが、気づかれる事はないだろう。
それに帰って来れるという保証もない。
「君を迎えに行こうと思うんだ、ジュード・マティス君。」
『世界の扉は開かれた!』
そして彼は幾多の歴史の現へ消えて行った。