「愛してるよ」

がりっと音を鳴らしまた深く愛を刻む。少し尖った俺の歯からぽたぽた流れ落ちる赤い滴が綺麗で綺麗で、お前の腕と俺の口がひとつになる。白くて柔らかくて、所々血管の浮き出た俺のとは大分違うようだ


「ひ…だん…痛い、よ…」

ああなんて愛しい。はあはあと途切れ途切れの呼吸はお前の生命の弱さを表す。気持ちよくて気持ちよくて、初めて俺は俺自身を痛め付けることなく快感を得た。


「お前も俺を愛すか?」

近くにあった刃物を渡す。彼女は受け取りこそしたがすぐに手から落とし首を横に振った。

「飛段を傷付けるなんて…できない。」

弱々しい傷だらけの腕はもう力を入れることの出来ないその両腕は何のためにある?
俺を喜ばせるため?人を傷付けるため?それとも出会った頃のように料理や洗濯をするため?俺を、あのときのように優しく撫でるため?


「…もう、昔みたいには…戻れないのかなあ…?」

彼女の両目から涙が溢れて溢れてそれは俺にひたひたとまとわりつく。なんだか急に恐くなって心がどんどん波打つ。


「…やめろ」
「……。」
「…やめろって」
「…」
「泣くな!!!!」




その後の事はよく覚えていないがふと我に帰ったとき足元には彼女が倒れていてあいつはもう腕を使うことは出来ないはずなのに俺の胸に大きな心の穴をあけていった。


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101202 ぱちこ

参加させていただきありがとうございました^^

110515 少し修正
ご、ごめんなさい…!



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