だいいちわ。
春はいつも、
何かが始まる季節。
「あっはっは!お前ら自分のグリップの握りも知らねえのかよ!トップスピンを打ちてーんならウエスタングリップだろ!」
目の前の男が勢い良くラケットを振り回す。なんでもいいけどそれイースタングリップね。
「ねえ電車って公共施設だったよね?」
「多分。」
「…わたし、リョーマのかっこいい姿見たいなー」
「……。」
はあ、とため息をつくとリョーマはねえうるさいんだけどと彼らに水をさす。そうそうそれでいいの。
「あ、青春台着いたよ。それじゃ、頑張ってね!」
「ウス。」
試合、見たいんだけどね。今日は残念ながら用事があるからここでばいばい。まあ勝つの目に見えてるしいいよね
改札でリョーマと別れるとわたしはわたしで用事を済まして1日を充実させた。春服たくさん買えて、満足!満足!
家に帰ったらカルピンとじゃれあってるリョーマがいて「優勝おめでとう!」と拍手をしたが返ってきた返事は一回戦敗退。
「ほへ?どうして?お腹ぴーぴーちゃんだったの?」
「…遅刻して失格だった」
「あちゃー」
まあまあ気を落とさずに。もう少ししたら青学でたくさんの名選手とたっぷり打てるわけですし!
「そんなことより、外行くよ」
「えー!!今日はだめ!今から買った服でファッションショーやるんだもん!」
「んなの後でいいじゃん」
「えー、えー?」
「今日こそ名前に勝つから。」
「いー度胸!じゃあ私が勝ったらファッションショーに付き合ってよね」
「臨むところ」
「はーい!それではいきまーす!第55回名前ちゃんファッションショー!」
深夜2時まで続いた。