すっかり日も暮れて、結局私はどこに連れて行かされるんだと考えていると、道でばったりシノと会った。

「あ、シノ!」

肩からぶら下げている籠の中には相変わらず虫がうじゃうじゃ入っていて少し気分が悪くなった。でもなにより驚いたのはサイが必要以上に震えていたこと。

「よう」

「偶然ね」

「ん、サイ、お前、長期任務中じゃなかったのか?」

「あ、はい、思ったより早く終わりました…」

相変わらずびくびくしてる彼が少し可哀想で、かばうように私が言った。

「シノはこんなところで何してるの?」

「ただの散歩だ…お前らこそなんだ、…デートか?」


「え?えっと…」

「それに名前、お前、確か飼ってた犬が死んだとかいって塞ぎ込んでなかったか?…まあ、元気になったなら越したことはないが。」

その時ハッとした。
私は一体何してるんだろう。
辛くて、辛くて、悲しみで引きちぎれそうだったのに、男の子と散歩して、喫茶店にいって、こんなのただのデートじゃないか。







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