「おいしい?」
「…微妙、です」
サイは変な顔をしながらサイダーを飲んでいた。
「炭酸嫌いなの?」
「わかりません」
初めて飲んだので、と言うとサイは一気にグラスの中を飲みほした。
「でも、そっちは美味しそうですね」
「欲しいの?あげないよ」
私は目の前にあるショートケーキをぱくぱく口に運ぶ。
「ちょっとでいいです」
「やだってば」
だって、同じフォーク使ったら間接キスになっちゃうじゃん。
ここではっきりさせておくが私とサイは恋人同士ではない。サイの事は嫌いではないしむしろ好きだけど、もちろんそれは友情的な意味で。
「じゃあ、苺、てっぺんにのっかってる苺だけでいいです」
「それなら、まあ…」
どうぞ、と言うとサイはとても嬉しそうだった。
それから1時間くらい私達はそこにいて、何を話すわけでもなくただ座っていた。私はコーヒーを何杯かおかわりして、彼は水を飲んでいた。サイダーの時よりずっと美味しそうな顔をして、飲みほしたら残ってる氷をカランカラン鳴らして遊んでいた。
「さあ、そろそろ出ましょうか」
氷に飽きたのか突然立ち上がってまた私の腕を引っ張る。
「もう?」
「一日は短いからね」
時計はちょうどお昼の2時を指していた。