愛してるよって触れてくるその腕も声も体温も全てがうっとおしい。
「そろそろお前の誕生日だろ、なんか欲しいもんある?」
少し前の私なら1日中一緒にいたいと答えただろうに今じゃ誕生日まで共に過ごさなくてはならないのかとため息がでる。
こんな女は最低で自分勝手だと思うし、だけどこれが恋という不確か特有のどうしようもないものなんじゃないかとも思う。
いつからこの男を煩わしく感じるようになったんだろう。解らない。
「そんな深刻な顔すんなよ」
「あ…えと、誕生日?別になんでもいい」
わかった、と笑うブン太はすごく寂しそう。本当は気付いてるね。私がもう何も思っていないことを。
「そういえば来週の日曜、試合あるんだ」
「そう」
「うん」
「…」
「…」
「…ごめん。応援は行けない」
「や、うん。わかってる!だよな、お前、忙しいもんな!」
大丈夫、俺絶対勝つからと笑うブン太。可哀想なブン太。
でもね、ちゃんと好きだったよ。私は彼を心から愛したし、常に側にいたいと本気で考えたこともあった。ねえ不思議だね。確かに愛はあったはずなのに