ひまわりの種を植えよう。夏が来る準備。晴れが多くなって、日差しが強くなって、凍えた冬はどこにいったんだろう。もしかしたら独り置いてきぼりにされて、どこかで泣いてるかもしれない。
「泣かないで」
「泣いとらん」
「嘘つき。」
「…お前さんが、どこかに行ってしまう気がする」
「行かないよ」
新聞屋さんから貰った種を見せて、一緒に植えようって約束。
夏が来たら、髪を真っ黒にしよう。ひまわりが私の身長より高くなってすっぽり隠れてしまっても一点の漆黒が私を私にしてくれる。
「今の金髪…似合ってるのにのう」
隣に座る銀色が吠える。
「黒にしたらそれこそお前さんだと分からんぜよ」
「じゃあ分からなくていい。他の男に見つけてもらう」
「そんなの駄目ナリ」
仁王は後ろからぎゅっと抱き締めてずっと一緒じゃと呟いた。
そういえば最近知ったんだけど、もう新聞をとってる家は多くないらしい。テレビには番組表がついてるし、インターネットは日々発達する。
「うん、わかってるよ。」
秋が来て、冬が来て、春が来て、もう一度夏が来る頃私は仁王と一緒にはいないと思う。