今日は一日中雨らしい。
だけどそんなこと私にはどうでもよかった。晴れだろうが雨だろうが雪だろうが台風だろうがどうせ外に出られないんだから、どうでもいい。

だけどわたしと違って天気と関係のある生活を送るブン太は肩や足を雨に濡らして急ぎ足で部屋に入ってきた。

「体調どう?いつもどうり?」「変わらないよ。」
「そっか、よかった。」

わたしの"いつもどうり"って、いいのかな悪いのかな。多分悪いんだろうな。ブン太は良い意味で使ってるけど。

「てゆうか昨日も一昨日も来たんだから分かりきってるでしょ」
「まあ、そうなんだけどさ」
「ああ、そっか。一日で急に容態が悪くなるかもしれないしね。」
「そういうこと言ってるわけじゃねえよ」

ブン太は穏やかに笑った。昔は私がこういうことを言うともの凄く怒った。だけどブン太が怒ると私は一日中機嫌が悪くなって口をきかないし出された食事も食べずに投げ捨てるから気付けばブン太は怒ることをやめた。

多分、機嫌が悪くなることより、食べ物を受け付けなくなることの方が彼にとって痛かったんだと思う。ただでさえ細いと自分でも思う手足がますます細くなって、太ももって何?って感じである。だけど不思議とお腹はすかない。24時間繋がれてる点滴の効果だね。これを点滴のせいだと言うべきか点滴のおかげだと言うべきかはちょっと分からない。

だけど私は最低な女だから、機嫌が良かろうが悪かろうが結局食事を残すんだ。

「お前、また野菜だけ残してんじゃん」
「嫌いなんだもん。病院の食事ってなんでこんなに不味いの?どうせあと少しの命なんだから、好きな物だけ食べて死にたい。」
「そんなこと言ってないで、次はちゃんと食えよ」


ブン太は怒らなくなった。いつもなるべく笑うようにしてる。ご機嫌取りとか、そんなんじゃなくて、多分彼自身で笑おうと決めたんだと思う。それでも私はつられて笑ったりなんかしない。だからブン太は無理して悲しく笑う。それが苦しくて、辛くて、余計に私は仏頂面になる。だからブン太はますます悲しい顔になる。


ごめんね、ブン太。



0110301







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