本当は好きだった。いつも見てた。大好きだった。だけどいざ話し掛けられるとみんなの目線がすごく気になるしひやかしの声が俺の耳を真っ赤にした。だからつい言ってしまったんだ。
「きめえよブス!」
それ以来彼女はいじめられるようになった。俺の言葉に便乗した野郎共がきっかけだ。それを見て見ぬ振りをしたのは、罪悪感と不安感から。また勢いで口を悪くしてしまうかもしれない。だけど彼女があまりにも可哀想だ。俺は心の中で1000回謝りながらコンクリートに頭を打ちつけてみる。血が出たし頭痛に見舞わされたが状態は何も変わらなかった。
放課後職員室で説教された後(学校に犬を連れてくるなと言われた。馬鹿やろうこいつは家族だと言ったら家族を校内に同伴させるな馬鹿と返された。なんだなんだ、知恵比べなのか?)教室に荷物を取りに来たら彼女がいた。
彼女は一人静かに泣いていて、今なら謝れそうだ。
「ごめん…」
彼女は俺の出現にびくりと反応して顔を上げる。大きな瞳から小さな涙の粒がポロポロ
「友達…いなくなっちゃった」
「ほんとにごめん」
「キバ君のせいだよ…」
「じゃあ、俺、」
「…?」
「責任とって、お前と校内でずっと一緒にいてやるから。」
担任との知恵比べは負けたが、今回は勝てそうだ。
20110213
20110510 修正