臨也さんが別人のように優しくて、私はなんだか嬉しいような切ないようなよくわからない気持ちになる。キスだって、いつもの10倍は甘い。

「どうしちゃったの臨也さん、何かあったの?」

臨也さんはとろんとした目で優しく微笑む。同じ顔なのに表情一つでこんなにも印象を変えることが出来るのか…。というか、臨也さんってこんな顔出来るのか。

「ここは反対の世界だよ。」


どういうこと?と聞き返したけど、言葉の通りだよとしか返ってこなかった。

「知らないひとみたい…」

「そうかな?」


たまにはいいんじゃない、と抱きしめられる。中身こそ違うけれど外見はそのままなわけで、普段の臨也さんを知ってる分そんな甘ったるい言葉や温度を吹きかけられてどきどきしないわけがない。

確かに、こんなのもたまにはいいのかも…と頭がくらくらと幸せに飲み込まれる寸前、そんな火照った頬を一気に冷ますような言葉が耳元で聞こえた。

「君はひどく醜い。」

「…え…?いざやさん…?」

態度とは打って変わって冷たすぎる心の言葉。どうしてそんなこと言うの?


「ここは現実と反対だからね」
臨也さんはふんわり微笑んだ。







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