純テロ・初恋 | ナノ


「宮城」
「なんだ?」
「両腕伸ばして」
「今読書してるから無理です」
「い、一瞬でいいから」

よくわからない事を突然言い出すのには馴れたが、あくまでそれを聞くのに、だ。

「はい」
「あ、宮城下ろすの早い」
「お前一瞬でいいって言っただろ」
「十秒でいいから!」

何を必死になってるのかわからないが、このまま放置すると大変面倒なことに成りかねないので溜息ひとつついて腕を伸ばした。

「そのまま」

と言う忍はソファに座る俺の膝に向かい合わせで腰を下ろす。

普段なら絶対しない行為に戸惑っていると、首筋に可愛らしいリップ音をたててキスをした本人は満足げにぎゅっと抱きついた。

「え、っと忍ちん」
「何?」
「どうしたの?」

行き場をなくした両腕を腰へ回すと嬉しいのか小さく笑って今度は鎖骨にキスを落とす。

「宮城とこうしたかったからしただけ」

そう言って隙間もないぐらい距離を埋めようとする忍に赤くなる顔を見られないよう俺も負けじと抱きしめた。



甘えんぼ
(こんな俺は好きですか?)