○高律「お宅の小野寺さんが夜中にデレたようです」 ガチャガチャ。 (鍵の音?) 傍に置いておいた携帯で時刻を確認すると夜中の一時を指していた。 ご丁寧に鍵を開けて入ってくるところから泥棒なんて物騒なやからではないらしい。 まあ誰かなんてすぐわかるが…。 (珍しいな、こんな夜中に) 今日は会議があったから一緒には帰れなかった。 家に着いたのが遅かったのもあって連絡もほどほどにベッドへと身を沈めたのだ。 薄らと目を開けるとドアから現れたのはやっぱり愛しい恋人で。 音を立てないように静かに傍へ寄ってくる。 悪いとは思ったが寝たふりをしていると、ためらいがちに布団をめくって潜り込んできた。少し冷たい足と手が触れる。 普段素直に甘えない恋人だからこそどうしようもなく抱きしめたくなってしまって、逃げないようにすかさず腕の中へと閉じ込めた。何か言おうとしていたみたいだったが、それよりも熱を分かち合いたくて黙らせる意味も含めて唇を塞ぐ。 「っ、んっ」 「律」 額同士をくっつけて顔を覗くと、面白いぐらい真っ赤になっていて「あ」だの「う」だの言葉にならない音を口にしながら視線をさ迷わせる。 「どうした?怖い夢でも見たか?」 からかいながら頭を撫でてやると 「違います。…高野さんが寒いかと思って来てあげたんです」 これまた珍しく抱きつくから、今夜は寝れねーなと苦笑しながら傍にあった髪へとキスを落とした。 (〜2012/01/12掲載) |