「高野さんってこうゆう趣味が…」 「ねーよ」 心底嫌そうにする高野さん。 けど俺の目の前に置いてあるのは所謂萌えアイテム(?)と呼ばれるアレが。 「え、じゃあなんで…」 「面白そうだから」 「?」 「お前に付けたら面白そうだから買ってみた」 (なんて言った、こいつ) 「だから付けて」 こうゆう趣味ないって言ってただろ、とか、あんたが面白いだけで俺は全然面白くもなんともないです、とか、言わなきゃいけないことがたくさんあったんだけど呆気にとられてしまって次々と装着されていく様をただ眺めていることしか出来なかった。 ×げーむ 猫耳編 はっ、と我に返った時には既に遅し。 頭にはご丁寧にも俺の髪色と合っている猫耳。 首には金の鈴が付いた首輪。 そして目の前には 「プ…」 今にも噴き出しそうな変態高野編集長。 (むかつく) 「お前、似合うな」 「馬鹿にしてるようにしか聞こえません」 「褒めてるんだけど」 「ふざけないでください」 何が楽しいのかじっと眺めている高野さんに 「もういいでしょう、こんなことやめてください」 と言って頭に付いているそれを剥ぎ取ろうと手を伸ばすと、勢いよく掴まれてしまったために体制を崩した俺は背中を床に打ちつけるように倒れてしまった。 「ったー」 「大丈夫か」 「大丈夫なわけ…」 衝撃のせいで閉じてしまった目を開けると天井を背景に見える高野さんが。 気づけば両手を拘束されていて、背中を冷や汗が伝う。 「あの…」 「なあ、猫ってさあ、なんて鳴くかな」 「は?」 「鳴き声の話」 「鳴き声って猫だったら普通に、にゃあって…」 「猫っぽく言って」 この状況で何を言い出すんだと不審に思いながらも俺は素直に口に出す。 「に、にゃあ?」 すると見下ろしていただけの高野さんは急に笑い出し 「お前可愛いな」 と拘束していた手を離し、俺の体を起こしたと思えばぎゅうぎゅうと強く抱きしめる。 「ちょ、痛いです、高野さん!」 ひたすら「可愛い」を連呼しながら髪を撫でたり、顔に口づけたり、普段ならしないようなベタベタな可愛がり様に恥ずかしくて恥ずかしくて。 「律可愛い」 もう隙間なんてないはずなのに、更に腕に力を込めようとする高野さんに 「いい加減にしろ」の意味も込めて視界に入った首筋に少し強く噛みついた。 happy Halloween!2011.10.31 |