深夜1時を迎えようとしている今。 「忍ちん、なあ忍」 「うっせー宮城、つーかくんなバカ」 ぐいぐいと身を寄せてくる宮城に眠気もどっかふっとんでしまった。 (あー酒くせぇ) テーブルの上にはビールの空き缶がごろごろと転がっている。 「いい歳こいて一人酒でこんなに酔っ払うんじゃねーよ」 「あ?なに?」 「なんでもねー!だから顔近付けてくんな」 当の本人はいい具合に酒がまわっているらしくご機嫌で、さっきからベタベタと俺にくっついてはちょっかいを出してくる。 正直、宮城からスキンシップをはかってくるのは珍しいから嬉しかったりもするんだけど少し離れたところからでもわかるぐらい酒臭いから有難迷惑だ。 頭を乱暴に撫でていた手がもう温くなっているだろうアルミ缶へ伸びる。 これ以上はやめてくれ、と思うよりも早く俺の手が宮城の手を軽く叩いた。 「宮城、もうビールやめろ。二日酔いになる」 「いーんだよ、明日やすみ」 「は?明日買い物行く約束してるだろ。忘れたのかよ!」 「あーそうだ」 「ったく、ほら。水。こっち飲んで寝ろ」 そう言って俺は冷蔵庫から出しておいたペットボトルのミネラルウォーターを差し出した。が、酔っているせいだろうか。蓋を開ける仕草はしたものの肝心なペットボトルが空いておらず、飲むふりをして終わってしまった。 「何してんだよ」 「あきましぇん」 「…ガキか」 「忍ちん、開けて」 わかるように盛大な溜息をついた後、蓋を開けて宮城に渡す。 でも一向に取る気配がなく眉をしかめたその時。 「飲ませて、忍」 聞き間違いであってほしい台詞が耳に届く。 黙ったまま数回瞬きをすると「飲ませて」と今度はゆっくりと単語が紡がれた。 「な、無理」 「なんで」 「やったことないし」 「簡単だろ。傾ければいい」 (傾ける…?) 「あ、これを?」 手に持つペットボトルを指すと「そう」と短い返事が返ってきた。 「なんだ、そんなんでいいのか」 「は?なんだと思ったんだよ」 「え、てっきり口移し…」 きっと部屋に充満するアルコールに酔ってしまったんだと思う。口にしてから、しまった!と下げていた顔を上げると目が合った宮城は変わらず赤い顔で「ほう…」と何やら楽しそうな笑みを浮かべていた。 大体こうゆう表情をする時の宮城はタチが悪い。 「じゃあ口移し」 「え」 「ほら、やれよ」 体ごと引き寄せられてドクドクと波を打つ心臓と伝染するように熱くなる頬。 急展開すぎて固まったまま動くことが出来ずにいると 「っ!?、んっ」 テーブルの上から空き缶を取って中身を少し口に含んだ宮城は無理やり俺の口を指で割って唇を合わせた。 「ばっ、これビール」 手の甲で口と端から零れたそれを拭う。 飲み慣れていない苦い味は不快で、けど甘いような気もして。 体重をかけられ背中と床がくっついた俺を見下ろしながら 「じゃあほら口直し」 といつの間にか手にしていたミネラルウォーターを口に含む宮城に「仕方ないな」と俺は誘うように首に腕をまわして目を閉じた。 Good advice sounds bitter to the ear DEAR 流野様!(宮城×忍) ▽大変お待たせしました。遅くなり申し訳ありませんでした。 ビアガーデンが頭から離れずつい書いてしまいました(すいません、こんな理由で)最後は結局宮城のいいようにされちゃう忍ちんです。忍に振り回される宮城も好きですが、たまには振りまわしてあげようじゃないか← 二人の言動がかなり迷子ですが、よかったらもらってやってください。もちろん書きなおしも受付ております!お待たせして本当にすいませんでした! |