純テロ・初恋 | ナノ


※おまけ

うっすらと目を開ける。
熱くて熱くて死にそうだった全身は薬が効いたのか、かなり楽になっていた。

体を起そうと手に体重をかけると、何か柔らかい感触。
確認するとそれは高野さんの手で、どうやらずっと握られていたようだった。

(ありがとうございます)

熱にうなされていた頃の記憶は欠落していたけれど、からっぽのお皿とスプーン。額を占領している熱を下げるシートに、買ってきたばかりらしい回復グッズ。

彼が自分のためにしてくれた事が目に見えてわかる。

そんな彼はすぐ傍で眠っていて、普段からは想像がつかないあどけない表情をしていた。

認めたくはないが、そんな姿に胸がトクントクンと高鳴って、嗚呼これが愛しさと呼ばれるやつなのだろう。

起こさないようにそっと触れる。

髪を、頬を。

そして今度は唇で。

もしかしたら起してしまうかもしれない。

一瞬頭を過ったが、その時はその時。

とにかく今は感謝の気持ちと言葉に出来ない愛しさを込めて。



Small happiness that summer cold carried


▽Thank you!