静かに扉を閉めて、抜き足差し足。 (自分の家なのに何やってんだ) 熱のせいで少しばっかしおかしくなった小野寺が薬のおかげで再び深い眠りについたのを見計らって俺は薬を買いに家を出た。一人にしておくのが忍びなかったが、さすがに病人を連れまわすわけにもいかず、とにかく急いで帰れば大丈夫だろうと足早に薬局へと向かう。 手際良く買い物を済ませ家に戻ると、小野寺はすやすやと気持ちよさそうに寝ていて熱も随分と下がったようだった。 それからまた数時間。 「高野さん」 肩をゆすられて自分がベッドの脇で寝ていたことを知る。 「あ、悪い。…どうだ、具合」 「だいぶよくなりました。すいません、ご迷惑おかけして」 「本当だよ」 申し訳なさそうな顔から一変。 眉を吊り上げ、掠れた声ながらも悪態をついてくる。 「元はと言えばあんたのせいじゃないか!」 (やっぱこうでなきゃ) ずっと一緒に居たのに、久しぶりに会った気がして俺は思わずまだ熱い体を抱きしめた。 「な、何してんですか!」 「律」 「ちょっと名前で呼ぶのやめてください!」 「律が名前で呼んでほしい、って言ったんだろ」 「は?そんな事言ってません。妄想もたいがいに」 「律。好きだ」 「も、高野さん!」 "これ以上熱を上げないでください!" (何を言い出すかと思えば…。) 「可愛いな、お前」 「意味がわかりません」 「俺だけわかってればいいんだよ。律、夕飯何食べたい?」 Episode.2 (素直な君も、そうでない君も、俺は・・・・・よ) DEAR 美香様!(高律 風邪ひき律 長編) ▽リクエストありがとうございます!お待たせ致しました! 素直なりっちゃんはとても難しかったです、こんなりっちゃんもたまにはいいかな、そんな思いで書きました。最初はりっちゃん視点で書こうか悩みましたが、高野さん視点で。高野さんが焦るところがお気に入りです。原作でもあまり(いや、まったく?)見ないので(笑)たまにはりっちゃんに翻弄されて欲しい。管理人の欲です。 せっかく素敵な題材をいただきましたのでおまけも(気持ちですが…)用意してみました。よかったら見てやってください。 美香様いかがでしたでしょうか?もし不満があればなんなりとお申し付けください。 |