「くしゅんっ」 「何、風邪?」 二人分の体をベッドへと沈ませ唇が触れる寸前。 その口からは夏には珍しいくしゃみが出てきた。 「頭痛いです」 「まじかよ。腹なんか出して寝てるからだ」 「人が風呂入ってるところにあんたが来て好き勝手やったままベッドに放置したからだろ!」 「あ?うっせーな。お前だって楽しんで「だぁああああ!もういいです。黙ってください」 確かに顔もいつもより赤い。 片手で前髪を上げて額同士を合わせると 「あー熱だな。これ」 今まで普通に過ごせていたのが不思議なぐらい熱かった。 「ちゃんと体温計で計ってみろ、ほら」 久しぶりに救急箱を開けて、とりあえず風邪に効きそうな物を取り出し、凍りまくらなどせっせと看病の準備をしていると少し潜った音が鳴る。 「38度9分…」 表示された数字は明らかに平熱を通り越し俺と本人を驚かせた。 けれど本当の意味で驚かされるのはこれから。 Episode.0 (長い一日の始まりはじまり) |