※「Fireworks that might not disappear」おまけ 「雪名あれあれ!射的やろって、おい!」 急に暗がりの裏道へ連れて行かれたと思ったら 「ちょっと、雪」 浴衣から見える肌がすぐ前にあって、抱きしめられたんだとわかった。 「すいません」 「お前、どしたんだよ。驚くだろ!」 何か気に障ることしたのか、悪い方ばかり考えていた俺に告げられたのは予想もしない言葉の数々。 「木佐さんが可愛すぎて」 「はっ!?」 「浴衣ってだけでも十分煽られてるのに、そんなに無邪気に笑ったり楽しそうな姿見せられたら俺…」 「いや、待て待て。なんだよそれ!」 「帰るまでは我慢しようと思ってたんですけど、木佐さんがあんまりにも可愛いんで我慢出来なくなっちゃいました」 「ちょっと、待てってこら!」 「大丈夫です、キスだけ」 「なっ、お前な!」 「ダメですか?」 (そんな悲しそうな顔すんな!) いくら暗がりだからとはいえ誰に見られるかもわからないこんな場所で。 「木佐さん」 けど結局俺は視線をあちらこちらへと動かしながら承諾してしまうのだ。 「一回だけだぞ」 「はい」 「舌入れたら殴る」 「はい、心の隅に置いておきます」 「じゃなくて」 (肝に銘じろよ!) 塞がれた唇はその言葉を紡ぐことは出来ず、入り込んできた熱い舌に上手いこと翻弄されてしまった。 お互いが離れるとまた強く抱きしめられて 「木佐さん好きです」 理性も、なにもかも甘く甘く溶かされてしまう。 「もう少しここにいましょう。そんな顔した木佐さん、誰かに見せるわけにはいかないので」 顔のいたる所へ口づけをする雪名。 さっきの余韻もあってか、ぼーっとする頭で恋人との夏祭りはこんなにもドキドキしてしまうものなのか、そんな事を思っていると止めと言わんばかりに 「夜はまだまだ長いですよ」 と囁かれた。 Fireworks that might not disappear (僕は君次第で赤くも蒼くも染められる) ▽Thank you! |