※おまけ 「なっ!?」 姉貴が平然と告げた言葉に絶句した。 「宮城っ!」 「げ、忍。お前ここでは先生と生徒なんだから後ろに先生つけろ」 「なんで姉貴と婚約破棄したんだよ!」 せっかくの俺のポジションが崩れる。姉貴と別れて、他の人と宮城が結婚なんてすれば俺と宮城のこの関係は俺が学生でいられる期間で終わってしまう。 「あー。子供は口挟むな」 「ガキ扱いすんな!宮城、どうしてだよ…」 自分でもわかる情けない声。俯いたのは潤みはじめた目を見られないようにするため。 はあ、と深いため息に体が強張る。けど降ってきたのは、とても優しい声。 「お前、この間俺が寝こけて帰りが遅くなった日、言ったろ。俺が好きって」 姉貴に宣言された婚約破棄よりも衝撃的すぎて思考も息も止まる。なんだって?この間… (「好きなんだ、宮城」) 寝ていると思って言ったあの言葉か!宮城が実は聞いていた、そう考えただけで一気に熱が上がる。 「てめ、起きてたのかよ!」 「はいはい、すいませんね。起きてました。で、まさか嫁の弟にそんな風に想われてただなんて思わなかったよ」 「…っ」 嫌われた。考えないようにしていた展開が正に目の前に広がっている。いたたまれなくなって鞄を掴み立ち去ろうとすると 「おい、こら待て。話しは終わっておらん」 「な、なんだよ。嫌がらせか?俺はあんたの口から拒絶の言葉なんて聞きたくない」 捕まれた腕も心も痛かった。 「なんでそうなる。これだからガキは」 「何でもかんでもガキのせいにすんな!俺だってな、アンタの人生とか色々考えて」 「忍」 名前を呼ばれて見上げると、すかさず顎を固定されて気づけば宮城の睫毛が一本一本わかるぐらいに近くて、唇に伝う温度が思考を停止させる。もうぼたぼたと落ちる涙なんて気にならなかった。 「お前が俺を好きだと言った後、俺は混乱した。年下だし、男だし、弟になる奴だ。でも不思議と嫌じゃなくて、可愛がっていたからかとも思ったけど違った。よくわからない気持ちで、気づけば忍。お前の事ばかり考えていた。お前の姉貴じゃなくて、最近の俺の頭は忍でいっぱいだったよ」 ただでさえ霞んでいた目の前が更にぼやける。まさかこんな展開になるなんて思わなかった。 「宮城…」 「忍、好きだよ」 抱きしめられた腕の中から見えたのは、涙越しだからだろうか。真っ白い光に映る大好きな人だった。 |