どうしてこうも不運なんだろうか。 「いーざーやーくーん」 「また静ちゃん?相変わらず暇だねー。だからって毎回毎回俺につっかかんないでくれる?馬鹿のひとつ覚えみたいに。あーそうか、静ちゃん馬鹿だもんねー。ごめんごめん。けど見てわかるようにこれから帝人くんとデートなんだ。ほら、手だって恋人繋ぎでしょ?それぐらい馬鹿な静ちゃんだってわかるよねー?それともわからないかな、はは」 「ふざけんなよ、帝人嫌がってんじゃねーか。てめぇは今俺が殺す、死ね、二度と帝人に関わるな」 「はあ?なんで静ちゃんにそんなこと言われなきゃいけないわけー?ほんと馬鹿は困るよね。って、帝人くんの腕引っ張らないでよ、静ちゃん帝人くん殺す気?」 「てめぇが離せ、蚤虫が」 僕を間に挟んで繰り広げられるくだらなすぎる口論に口を挟むのも面倒臭い。最初の頃は…あれ、最初っていつ?…まあ、いいや。僕も好き勝手する臨也さんに抵抗したり、その臨也さんに挑発される静雄さんを宥めたりしてたけど、こうも毎日毎日毎日同じことばかりあるとどうでもよくなる。慣れるって怖いなあ。周囲の奇妙な目だって痛くも痒くもない。 大体なんで僕なんだ。可愛い女の子なんてこの街にはたくさん居るじゃないか。わざわざ僕みたいな童顔で平凡な高校生じゃなくても。あー自分でいっててへこむ。 「ほんと静ちゃんってなんなの、頭悪いのにも程があるよね。いい加減死ねばいいのに」 「同じ事何度も言わせんな、てめぇが死ねば全部綺麗に済むんだよ」 「あの、僕帰りたいんですけど」 「ちょっと待ってて帝人くん。すぐ終わるから約束のデートしようね」 「帝人、俺が今助けてやるからもう少し辛抱しろ」 充分待ってるし、辛抱してるんですけど。そもそもデートって何ですか?約束した覚えもないし。夢とかじゃないですか、うわ。臨也さんうざいし気持ち悪いです。 今日は何時に帰れるかな、新記録が出るかもしれない。盛大な溜息さえスルーした二人の間で僕はオレンジ色と青が混ざる空を見ていた。 非日常が日常になりました。 「僕の家まで押しかけて一体いつ帰ってくれるんですか」 「静ちゃんが死んだら」 「こいつを殺したら」 「…同居なんて真っ平ごめんです。帰れ」 |